1年前の春。NHK甲府放送局の資料室で私たちはオウム関連の膨大な資料と格闘していた。当時の記者たちがまとめた取材メモや新聞記事のスクラップ、写真など、オウム真理教の一大拠点があった地元の放送局だけにその数は膨大だった。 何時にどこから中継を出すのか、取材拠点をどこに設けるのか、ディレクターや記者の配置をどうするか。取材体制を構築する過程が分かる資料も含まれており、当時の熱気が手に取るように伝わってきた。 資料の中で「オウムの子ども」というタイトルのファイルが目に留まった。山梨県中央児童相談所が1995年4月、教団施設から53人の子どもを一時保護した際の関係者への取材メモなどだ。「オウムの子ども」というテーマで番組化しようと、多くの当事者家族に取材しようとした痕跡も残されていた。安倍元首相の銃撃事件で注目を集めた、親が信仰する宗教を理由に苦難に直面してきたとされる、いわゆる「宗教2世」の問題
