会期が終了してからだいぶ月日が経っているにも関わらず、なぜか頭の片隅に残っていて折りに触れては思い出されてくる展覧会というものがある。ひとむかし前、と言えるくらい程良く時間が経過した展覧会ならば、「1970年の『人間と物質』展は伝説的展覧会だ」「1992年の『アノーマリー』の熱気は凄かった」などともっともらしい歴史的価値を授けて語りやすいのだが、中途半端な近過去の展覧会は「歴史」として定位するには日が浅すぎるために、話題としてどうしても蒸し返しにくいところがある。機を逸したアートレビューなど誰も必要としないし、積極的な存在意義もないのかもしれない。だが私はあえてここで、通常のアートレビューに求められるようなアクチュアリティーだとか即時的な価値判断といったものから距離を置き、中途半端な近過去の展覧会や記憶の底に沈殿する美術作品をめぐる雑感の掘り起こしを試みてみたい。美術作品をめぐる思考は本来
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