かつて公立優位と言われた大阪府の高校受験に異変が生じている。今春、府内の全日制公立高145校の約半数に当たる70校が定員割れした。府が高校授業料の無償化で所得制限の撤廃を進めた結果、進学のハードルが下がった私立に人気が集まったためだ。大阪には定員割れが続く府立高を統廃合の対象とする独自ルールがあり、既に府立高のない地域が生じている。今後も公立離れが進めば、空白地帯が拡大する恐れがある。 高校授業料の無償化は旧民主党政権時代の2010年度に全国でスタート。公立は全世帯で無償化し、私立は所得に応じて就学支援金を支給(実際の授業料との差額は保護者負担)した。国の制度は現在、それぞれ所得制限が設定されている。公立に比べ授業料が高額な私立に対しては、多くの都道府県が国の支援金に独自の補助を上乗せして充実を図っている。