1. 序 自由損傷症候群主体は, 「自由の無」の了解によって喚起される根本情態性 (不安, 絶望, 混沌, 恐怖) , 及び「自由の無」から自己を防衛しようとする. つまり, 恐怖を齎す対象から自己を防衛しようとするこれは, 換言するならば「自由の無」の了解から成る自律葛藤症状とも言える. 自由損傷症候群に罹患していた心理学者のフロイドは, この防衛の幾つかの様式を提示してそれらを防衛機制と呼んだ. その様式には, 抑圧, 逃避, 代償, 反動形成, 置換, 昇華, 投射, 合理化, 摂取, 復元, 自責, 退行などがあるが, これらは凡そ自律葛藤症状としての反抗, 抵抗, 逃避のいずれかに内包される. つまり, 反抗は自律できない, 抵抗は自律したくない, 逃避は自律しなくともよい, との意思状態であり, 「自由の無」が大きければ防衛機制も過剰となる傾向にある. 彼の提示した防衛機制の各