お笑い作家としてのウンベルト・エーコ イタリアの哲学者・美学者であり小説家でもあるウンベルト・エーコは日本でも比較的よく知られている(最近の2つの長編 Barbelino と The Mysterious Flame of Queen Loana はいまだに翻訳されていないようにみえるけれど)。哲学と歴史の小ネタを惜しみなくつぎ込んだその壮麗な小説世界は、当然なんだか妙に分厚い本になって(第一長編と第二長編の邦訳はともに二分冊だった)、しかもいろいろな解説本が出ているとなれば活字慣れしていない読者を敬遠させるには十分な気もしますが、あれは本当はとても面白い本なんですよ。いや、興味深いとかじゃなくて、文字通り笑えるという意味でね。それも知的なウィットとかじゃなくて、どちらかといえば親父ギャグの笑いである。 私にとって『薔薇の名前』は、ある意味で Monty Pythons and the H