ルビ(ふりがな・よみがな)の付いた文章を、子どもたちと日本語の初学者に贈りたい。日本語の漢字は、読むのが難しいという事実を再確認したい。 まだ味わったことはないのだが、日本に帰ったら飲んでみたいと思っている酒がある。「蔵粋」という名の福島県の酒らしいのだが、こう書いて「クラシック」と読ませるのだそうだ。ユーモアのセンスも豊かな蔵元のつくった日本酒なんて、それだけでも飲む価値はある。 漢字が美しいのは、絵画や彫刻と同じく、見る人の想像力を刺激するからである。その証拠に、漢字には書道があるのに、アルブァベットにはない。文字は意味を伝えるだけでなく、想像力を刺激することで世界までも広くするからだ。だから、何でも平仮名にしてしまう風潮は、好きではないだけでなく悪弊だとさえ思っている。銀行でも駅でも、平仮名に変えたとたんに平面的になりつまらなくなる。一方の漢字は、立体的で三次元的だから、美しくて愉し