2018年4月、大相撲の巡業中に緊急の対応で土俵に上がった女性が降りるように指示され、話題になりました。相撲における土俵のように、かつては酒蔵も女人禁制だったといわれています。 いったいどんな理由で、女性は酒造りから遠ざけられていたのでしょうか。現存する資料や酒蔵で語られている通説から、その真相を探っていきましょう。 はるか昔、酒は女性が造っていた酒造りの最高責任者「杜氏(とうじ)」という言葉の由来は「刀自」といわれています。「刀自」とは、神道における戒名と同等の意味をもつ"霊号"として、女性のみに使われる敬称。はるか昔、口噛み酒を仕込む際に必要な米を噛む役目は、巫女や穢れのない処女のみが行なったとされています。 平安時代の『延喜式』という書物に登場する、当時の酒造りに関する記述を参照すると、新嘗祭で行なわれる公式行事「節会」に使用する酒を造る際、米を搗(つ)くのは女性の役割で、1石の米を