医療の目的は患者を死から救うことと患者のQOL(生活の質)を向上させることである。前者に対して後者の重要性がますます高まっているとはいえ、前者の重要性が減じるわけではない。年齢別の死亡率から計算される平均寿命(ゼロ歳時の平均余命)は前者のパフォーマンスをあらわす代表的な指標である。 図に掲げたのはOECDの資料(Health at a Glance 2009)に基づき1人当たりの医療費と平均寿命の相関図をOECD諸国について作成したものである。 対数近似曲線を加えたこの相関図は、医療制度の効率性を分析したOECDの論文においても作成されている。同論文による平均寿命という指標の性格についての評価は末尾の(注)に示した(OECD 2010)。 平均寿命と1人当たり医療費は正の相関をもっていることが明らかである。近似線は1次直線より対数曲線の方がR2値が高く、当てはまり度がよいと判断される。医療