久しく文章を書いていないのですが、リハビリとして書評をしてみます。(書き上げてから勘定してみたら原稿用紙45枚に及んでいることが判明。興味のない方は里芋を剥いたりボトルシップを作ったりした方がマシです) 取り上げますのは、フランスの作家ジョルジュ・ペレックが著した『人生 使用法』。パリの集合住宅を10×10の格子状に分割し、1部屋1章として全100章、室内を徹底描写する大長編小説です。書籍自体も巨大で、日本版では二段組で600ページ弱、加えて索引が100ページ強、辞典並のサイズの本です。 批評家の中には、『ユリシーズ』『失われた時を求めて』『城』などと並ぶ二十世紀小説の傑作と賞賛する人もいるそうですが、私も同感です。「トマス・ピンチョンは一冊の小説の中に世界の全てを包括しようとしている」と評されますが、『人生 使用法』はまさしくそれで、「直方体の本の中に地球上のあらゆる事象が詰まっている」