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ブックマーク / 9bit.99ing.net (13)

  • 2019年に出た文章 - 9bit

    質論としてのゲーム・スタディーズ 中沢新一・中川大地編『ゲーム学の新時代』(NTT出版、2019年)に所収。主にゲームの定義論という視点から、2000年ごろに北欧で成立したゲームスタディーズの成立史とその背景をたどっている文章です。有名な「ルドロジー vs ナラトロジー」論争(その実態が盛大に誤解されていることでも有名な)についてもいくらか触れています。 ついでに言うと、いいかげん「ルドロジー × ナラトロジーにうかつに言及すると知ったかぶりがばれるので危険」という認識が広まるといいなと思います。そんな「論争」などなかったのです(少なくとも想定されがちな姿としては)。以下のエントリーも参照。 立派なゲーム研究者になるための10の心得 - 9bit ゲーム・ミーツ・アート―ビデオゲーム・アヴァンギャルドの可能性 https://mediag.bunka.go.jp/article/arti

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  • 2018年に出たゲーム研究・批評関連の本(日本語) - 9bit

    2016年はゲーム歴史に関するが豊作でしたが、2018年はゲームに関する理論や批評のが豊作でした。引き続き2019年も、把握しているかぎりで複数のゲーム論集が出ることになっています。日ゲーム研究の実質的な夜明けが来た感じがあります。 以下、2018年分をまとめます。漏れがあったらお知らせください(ゲーム開発のや、ゲームを扱った文章は収録されているが全体としてはゲームではないというものは外しています)。 神田孝治・遠藤英樹・松健太郎編『ポケモンGOからの問い―拡張されるリアリティ』新曜社、2018. 『ポケモンGO』から問うです。学際的なアプローチの論集。 Florent Gorges『スペースインベーダーを創った男 西角友宏に聞く』徳間書店、2018. フランス人の著者が西角さんに聞く。見聞きするかぎりでは、往年のゲーム開発者のオーラルヒストリーのプロジェクトはそれな

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  • 『ビデオゲームの美学』の細かい目次 - 9bit

    おかげさまで拙著『ビデオゲームの美学』(慶應義塾大学出版会)が10月20日に刊行されます。 目次が長すぎるおかげで、目次の詳細情報がウェブに出ていないので、(公式ページにも出ました)目次をこちらに載せておきます。の内容紹介はおいおいします。 (追記)内容紹介を書きました:『ビデオゲームの美学』はこんな - 9bit 序章 1 ならではの特徴 2 問いをはっきりさせる 3 方法をはっきりさせる 4 意義をはっきりさせる 第Ⅰ部 芸術としてのビデオゲーム 第一章 ビデオゲームとは何か 1 定義とは何か 2 ビデオゲームとビデオゲーム作品 3 ゲームとして定義する 4 選言的に定義する 5 選言的定義を改訂する 6 ビデオゲームの媒体 7 「ビデオゲーム」の類義語 第二章 ビデオゲームの意味作用 1 意味作用と行為 2 受容とは何か 3 作品と適切なカテゴリー 4 ビデオゲームと芸術の存在論

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    Lian
    Lian 2018/10/15
  • グッドマン『芸術の言語』裏あとがき - 9bit

    ネルソン・グッドマン『芸術の言語』の邦訳がおかげさまでようやく出版されます。『ハーフリアル』に引き続き名著の翻訳にたずさわることができて、非常にありがたいやら勉強になるやらです。感謝。 体に入れるスペースがなかったので、ここにあとがき的なものを書いておきます。内容の解説ではありません。章ごとの内容は、書付録の「概要」を読んでいただければおおまかにわかると思います。 内容や訳についてのご質問やご指摘はTwitterかask.fmにお願いします。誤字・誤表記・誤訳などは以下に追加していきます。 『芸術の言語』1版1刷正誤表 『芸術の言語』1版2刷正誤表 『芸術の言語』1版3刷正誤表 簡単な紹介から。『芸術の言語』は、初版が1968年、2版が1976年に出たで、まちがいなく20世紀美学の古典のひとつ。プロパーな美学者だけでなく、文学や音楽学や美術史といった関連領域の研究者のあいだでも重要な

    グッドマン『芸術の言語』裏あとがき - 9bit
    Lian
    Lian 2017/02/14
    邦訳ありがてぇ
  • 「物語としてのゲーム/テレプレゼンスとしてのゲーム」について - 9bit

    榊祐一「物語としてのゲーム/テレプレゼンスとしてのゲーム――『バイオハザード』を例として」 押野武志編『日サブカルチャーを読む――銀河鉄道の夜からAKB48まで』所収, 北海道大学出版会, 2015, pp.253-286. 榊さんは、「〔ビデオ〕ゲームを自律した文化領域として論じるための方法論をいかにして獲得するか」という問題意識のもとに、「①ゲームをその固有性を尊重しつつ論ずることを可能にするような理論的枠組みの提示と、②その枠組みによるゲーム分析の実践例の提示」(榊 2015: 254)をすることを試みている。 ようするに、ビデオゲームの特殊性を論じるための理論的枠組みを定義したうえで、それを具体的なケース(『バイオハザード』)に適用するというものである。わたしの博論もほとんど同じ問題設定なので、モチベーションと方法にとても共感できる。 切り口としては「ゲームと物語」という古典的な

    「物語としてのゲーム/テレプレゼンスとしてのゲーム」について - 9bit
  • ゲーム研究における美学の役割 - 9bit

    というか私の役割について。 先日モリス・ワイツの古典的論文を訳してアップしたんですが、その結論部分でいかにも美学ってかんじの上から目線の文章があって、あらためて美学と自分のお仕事について反省しているところです。 M. Weitz「美学における理論の役割」|まつなが|note われわれ哲学者としては、芸術の定義とその背後にあるものの区別をいったん理解したなら、伝統的な芸術理論に寛大な態度で接するのが適切だろう。〔…〕理論の役割を理解することは、それを定義――論理的に言って失敗が運命づけられているもの――として理解することではない。 ここで「芸術理論」と呼ばれてるのは、「芸術とはxxなんである」という「定義」を主張する俺理論みたいなやつで、哲学的に洗練されてないような理論のこと。ようするに、ワイツは、「そういう俺理論が言ってることは定義としてはおかしいんだけど、それはそれでそれなりの役割と意義

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  • ゲームはフィクションではない - 9bit

    ゲームをフィクションないしメイクビリーブといっしょくたにするなという話です。主張の内容は以下のとおり。 フィクションとゲームは、そのなかでの事柄が現実の利害関心から分離しているという点で似ている。 フィクションとゲームは、そのなかでの事柄が、想像されるものであるか、制度的に構成されるものであるか、という点でちがう。 現実的利害からの分離という特徴を指すのに「フィクション」という語をつかうのは、議論の整理という観点からいって致命的にまずい。 ケンダル・ウォルトンの『In Other Shoes』(2015)のKindle版が出てたので、とりあえず5章の「"It's Only a Game!": Sports as Fiction」だけ読んだ。 ウォルトンは、スポーツに代表される競争的なゲームを観戦することが、演劇のようなフィクションを鑑賞することと同じくメイクビリーブの側面を持っていると主張

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  • ゲームの評価基準の話をしよう - 9bit

    ぷらとんさんの記事を読んだ。面白かった。 ぷらとん-マイナーゲームのために 私的思索の振り返り その3 ある特定の作品がなぜいいか(あるいは悪いか)を述べるのが批評であり、いい作品の一般的な条件つまり評価基準を述べるのが批評理論だと言っていいかもしれない。批評は評価の説明を与え、批評理論は批評の根拠と道具立てを与える。 ぷらとんさんの議論は、そういう意味での批評理論として非常に質の高いものになっている。少なくとも、ゲームの評価基準について、そのへんのゲームデザインよりもよほど明確で鋭い指摘をしている。 (ゲームデザインの著者は「ゲームデザインはいいゲームの基準ではなくいいゲームの作りかたを教えるものですから」とかいう言い逃れをするかもしれないが、「いいゲームの作りかた」なる物言いは「いいゲームとはどのようなものであるか」を前提しているわけなので、評価基準についての最低限のクオリティを

    ゲームの評価基準の話をしよう - 9bit
  • 『なぜ人はゲームにハマるのか』について - 9bit

    200ページ弱のうちの3分の1くらいは画像と名作ゲームの紹介なので、実質的な分量は少ない。文字たくさんの文章がつらい向きには読みやすいかもしれない。 想定読者層のひとつとしてゲーム研究者を挙げているが、先行研究をちゃんと紹介したりそれとの接続を試みたりというかんじではないので、研究書とは言いづらい。 おおまかな内容は以下の書評によくまとめられている。 渡辺 修司、中村 彰憲 『なぜ人はゲームにハマるのか 開発現場から得た「ゲーム性」の質』(SBクリエイティブ、2014) | FF2400.jp@blog版 面白かったのは10章。難易度バランスのとりかたのバリエーションを「効率予測」という概念をキーにして説明しているところ。「効率予測」は「高リスク短時間と低リスク長時間のあいだの最適解を、プレイヤー自身のスキルレベルに応じて判断する」ことであるとされる。11章では、この「効率予測」を「喚

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    Lian
    Lian 2014/05/16
  • ゲーム研究と「ナラティブ」 - 9bit

    「ナラティブ」(narrative)という用語がゲーム研究や周辺領域において使われる場合の留意事項いろいろ。たぶん偏っています。 以下、カタカナにする意味もあんまりないので「物語」で通します。 「物語」のいろいろな意味 イェスパー・ユールは、著書 Half-Real のなかで、「物語」という用語が「かなり細かく特定しないかぎりは実践的に無意味」になるくらい多様な用法を持っていることを指摘したうえで、そのうちの主要な用法を6つ挙げている(Juul 2005: 156-157)。 複数の出来事の提示(presentation)としての物語。これは、この言葉の原義かつ文字通りの意味、つまりストーリーを語ること(storytelling)である(Bordwell 1985; Chatman 1978)。 固定され(fixed)あらかじめ定められた(pre-determined)出来事連鎖としての物

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  • イェスパー・ユール『Half-Real』はこんな本 - 9bit

    人文系ビデオゲーム研究の古典的な研究書である Jesper Juul, Half-Real (2005) の章ごとのざっくりな紹介です。 ちょっと入用でぱっと作ったものですが、せっかくなので公開しておきます。いまさら感あるけど(というか、日でも比較的知られてるし読書会もいくつかされてるらしいわりに具体的な内容についての言及がなさすぎなのはなんなのか)。 「日語で読ませろ」という人が続出すれば、どこかの出版社さんが翻訳をだしてくれる流れにならなくもないかもしれませんので(てきとう)、よろしくおねがいいたします。 以下まとめ。〔〕内は補足。 Preface 思い出話。 1. Introduction このの基的な構想(ビデオゲームに現実のルールと虚構世界という二面性を見たうえで、両者の関係を考える)の提示。 採用する大まかな理論的枠組みと扱う主題を示し、それぞれについて先行研究を軽く紹

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    Lian
    Lian 2013/04/26
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  • 最近出たゲーム研究の本 - 9bit

    誰得感がはんぱないですが、2012年に出た人文系ゲースタのアンソロジー/入門系のを4冊ほど紹介しておきます。 The Philosophy of Computer Games ヨーロッパで定期的にやっているPhilosophy of Computer Games Conferenceで発表されたものを中心にまとめたアンソロジーです。イントロにあるように、コンピュータゲームの哲学の仕事は、(1) コンピュータゲームについてのアカデミックな研究がしばしば持ち出す基礎的な諸概念を批判的に吟味し、明瞭化する、(2) 伝統的な哲学的諸問題をコンピュータゲームの文脈のうちで扱う、の2つであるとされます。 全部で17個の論文が3つのパートに分けられるという構成になっています。パート1はプレイヤーのプレイ経験の話、パート2はゲームと倫理の話、パート3はゲーム世界あるいはフィクションの話が中心です(目次は

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  • ゲーム研究入門 - 9bit

    勉強会1回目の資料としてつかったものです。人文系ゲーム研究(game studies)についての軽いイントロダクションです。偏りがあると思うので、まるまる信じないでください。 呼称の問題いろいろ 研究対象の呼称 「ビデオゲーム」、「コンピュータゲーム」、「デジタルゲーム」、「テレビゲーム」、「電子ゲーム」、etc... めんどくさいので、とりあえず包括的呼称として、英語圏の研究でもっともふつうに使われている印象がある「ビデオゲーム」(video games)を採用してはどうか。 ビデオゲーム以外のゲームの呼称も問題。「アナログゲーム」、「非デジタルゲーム」、「非電源ゲーム」、etc... 個人的には、外延がある程度はっきりしてれば呼び名はなんでもいいが、日ゲーム研究の現状だと、用語が定着するまではその都度ちょっとした定義をしてつかったほうがいいのかも。 分野の呼称 「ルドロジー」(lu

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