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ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (44)

  • 日本人祖先の「3系統説」、定説の「二重構造モデル」に修正迫る

    「日人の祖先はどこからやってきたのか」。このロマンに満ちた問いに対しては、祖先は縄文人と大陸から渡来した弥生人が混血したとする「二重構造モデル」が長くほぼ定説となっていた。そこに日人のゲノム(全遺伝情報)を解析する技術を駆使した研究が盛んになり、最近の、また近年の研究がその説を修正しつつある。 日人3000人以上のゲノムを解析した結果、日人の祖先は3つの系統に分けられる可能性が高いことが分かったと理化学研究所(理研)などの研究グループが4月に発表した。この研究とは別に金沢大学などの研究グループは遺跡から出土した人骨のゲノム解析から「現代日人は大陸から渡ってきた3つの集団を祖先に持つ」と発表し、「三重構造モデル」を提唱している。 理研グループの「3つの祖先系統」説は「三重構造モデル」と見方が重なり、従来の「二重構造モデル」の修正を迫るものだ。日人の祖先を探究する進化人類学はDNA

    日本人祖先の「3系統説」、定説の「二重構造モデル」に修正迫る
  • ホタルのオスを「女装」させるクモ、光操り別のオスを罠に、研究

    オニグモ(Araneus ventricosus)の網にかかったオスのホタル。オニグモは、ホタルが交尾相手を見つけるために使う生物発光のシグナルを操作できるのではと、研究者たちは考えている。(Photograph by Xinhua Fu) クモは、驚くほど様々な狩りのテクニックを進化させてきた。唾液を使って獲物をわなにかける種もいれば、ヘビさえも捕らえられる強力な網を張る種もいる。最新の研究では、日でもごく普通に見られるオニグモが、とりわけ巧みな戦術を使ってホタルを自分の網に誘い込んでいるという。(参考記事:「クモの驚くべき世界」) 2024年8月19日付けで学術誌「Current Biology」に発表された論文によると、このクモは、網にかかったオスのホタルが発する光を操作して、あたかも交尾相手を求めるメスが光を放っているかのように見せかけ、別のオスをおびき寄せているようだ。 クモが

    ホタルのオスを「女装」させるクモ、光操り別のオスを罠に、研究
  • ギザの大ピラミッド、4500年前の「建造日誌」が残っていた

    紅海のエジプト沿岸に、ワディ・エル・ジャラフという4000年以上前の古代遺跡がある。遠く海の向こうにシナイ半島を望むこの遺跡で2013年、歴史的発見がなされた。石灰岩で作られた坑道のなかで、世界最古のパピルス文書が30巻見つかったのだ。 古さもさることながら、注目すべきは書かれている内容だ。この「紅海文書」と呼ばれるものは、その昔にぎやかな港として栄えたワディ・エル・ジャラフについて明らかにしているだけでなく、クフ王の大ピラミッド建造に直接関わっていたメレルという人物の日誌も含んでいた。(参考記事:「“永遠”のギザの三大ピラミッドはどう建てた? 謎の空間も発見」) ワディ・エル・ジャラフの遺跡が最初に発見されたのは1823年。発見者の英国人旅行家で古物収集家のジョン・ガードナー・ウィルキンソンは、これをギリシャ・ローマ時代のネクロポリス(共同墓地)だと考えた。その後1950年代に、考古学好

    ギザの大ピラミッド、4500年前の「建造日誌」が残っていた
  • 大量に噴出する水素ガスを発見、世界を変えるエネルギー源に?

    米ノースカロライナ州沿岸部のLiDAR(光による検知と測距)画像。地中から漏れ出している水素ガスによって、明るく円形に色づいて見える。地中から水素を回収できれば、温室効果ガスを排出せずに発電できるため、水素が大量に蓄えられた場所を探す取り組みが続けられている。(PHOTOGRAPH BY VIACHESLAV ZGONNIK AND MICHAEL DAVIAS) 地質学の実地調査は、噴火する火山の斜面や極寒の南極の谷底など、ときに過酷な場所で行われる。とはいえ、何度も爆発した鉱山の中で調査されることはあまりない。ところが、南欧アルバニアにあるクロム鉄鉱の鉱山で、まさにそれが行われた。科学者たちの目当ては、ほぼ純粋な水素ガス。爆発のもとであると同時に、世界を変えるクリーンなエネルギー源になりうるものだ。 その水素が漏れ出ているところが見つかったと、2024年2月8日付けで学術誌「Scien

    大量に噴出する水素ガスを発見、世界を変えるエネルギー源に?
  • 200年ぶりに大西洋でコククジラを目撃、「とんでもないこと」

    コククジラ(写真はメキシコ、バハカリフォルニア州の海を泳ぐメスとその子ども)は1700年代後半以降、捕鯨によって大西洋からはほぼ一掃されてしまった。(PHOTOGRAPH BY HIROYA MINAKUCHI/MINDEN PICTURE) 3月1日、調査のために米国マサチューセッツ州の沿岸を飛行しているとき、研究者たちは、予想すらしていなかったものを発見した。1頭のコククジラが、この種としては200年以上も目撃されていない場所で潜水し、浮上したのだ。 米ニューイングランド水族館の科学者たちは最初、眼下にいるのはセミクジラだと考えた。セミクジラはこの地域で絶滅の危機にあるため、定期的に監視されている。 しかし、しばらく時間をおいた後、もっとよく見ようと元の場所に戻って撮影すると、灰色の体には斑点があり、頭部は細長い三角形だとわかった。どちらもコククジラの特徴だ。 3月1日に目撃されたコク

    200年ぶりに大西洋でコククジラを目撃、「とんでもないこと」
  • ザトウクジラの交尾を初めて確認、写真も、ただしオス同士

    2頭のオスが交尾した理由は不明だが、「ザトウクジラの交尾については、世界中どこを探しても目撃例も記録もありませんでした。ですからこれは、非常に特別で驚くべき遭遇だったのです」と専門家は言う。(PHOTOGRAPH BY LYLE KRANNICHFELD AND BRANDI ROMANO) ザトウクジラ(Megaptera novaeangliae)のように巨大でカリスマ性のある生物のことなど、とっくに調べ尽くされていると思われるかもしれない。しかし今回、驚くべき新たな発見がもたらされた。ザトウクジラの交尾が初めて観察されたのだ。それだけではない。海洋哺乳類科学の専門誌「Marine Mammal Science」に2月27日付けで発表された研究によると、交尾をしていた2頭はどちらもオスだったという。(参考記事:「【動画】ザトウクジラの出産の一部始終、科学者が初の観察に成功」) この発見

    ザトウクジラの交尾を初めて確認、写真も、ただしオス同士
  • 不思議な気象現象、“雷雪”の謎に迫る

    アメリカ、ミネソタ州の農場の上空でとどろきを上げる雷雲(写真左)。雷雲は、地表近くの暖かく湿った空気が上昇して、大気の状態が不安定になった場合に発生する。 アメリカでは、晩冬から早春にかけてこのような条件がそろうことがある。吹雪の中で雷鳴と雷光が発生する珍しい気象現象で、「雷雪」と呼ばれている。 雷雪の研究者は、雪中撮影装置(写真右)を用いて雷雪の形成メカニズムを調査している。 Photograph by Richard Olsenius/NGS (left) and courtesy Patrick Market (right) 3月1日~2日、アメリカ東部地方は広範囲にわたって晩冬の雪嵐に襲われた。猛烈な吹雪となり、激しい雷鳴がとどろいた。住民は寒さと音で大変だっただろう。おや?そういえば雷が鳴るのは夏ではなかったか? 雪雲に伴う雷は珍しい気象現象であまり知られていないが、「雷雪(th

    不思議な気象現象、“雷雪”の謎に迫る
    Listlessness
    Listlessness 2024/02/06
    昨日、雪なのに雷鳴ってておや珍しいと思ったなぁ。雪おこしっていうのか。
  • 「湖水爆発」で数百万人が犠牲の恐れ、時限爆弾のようなキブ湖

    ルワンダとコンゴ民主共和国にまたがるキブ湖。そのユニークな地質的特徴により、湖深くに膨大な量の二酸化炭素とメタンガスが蓄積しており、湖岸に住む数百万人の命を危険にさらしている。(PHOTOGRAPH BY ROBIN HAMMOND, NAT GEO IMAGE COLLECTION) ルワンダとコンゴ民主共和国にまたがる緑豊かな渓谷にあるキブ湖は、見事な崖に囲まれている。湖上では漁師たちが小舟を浮かべ、歌に合わせて櫂(かい)を揃えて漕ぎながら、その日の料を捕っている。だが、湖の深部は、そんなのどかさとは無縁の世界だ。 キブ湖は地質学的に特異な多層湖で、深い層は蓄積した二酸化炭素とメタンで飽和状態にある。このような湖は世界に3つしかない。残りの2つはカメルーンのニオス湖とマヌン湖で、どちらも過去50年の間に湖水爆発を起こして致死的なガスの雲を噴き上げ、人間や動物を窒息死させた。 1986

    「湖水爆発」で数百万人が犠牲の恐れ、時限爆弾のようなキブ湖
  • 世界最古の鞍を発見、定説覆す女性所有者に驚き、約2700年前

    中国の洋海(ヤンハイ)墓地から出土したおよそ2700年前の鞍。革を縫い合わせたものに藁や動物の毛が詰められている。精工な作りだが高価なものではなく、地域の牧畜民に日常的に使われていた。(PATRICK WERTMANN) 古ければおよそ2700年前、中国北西部の乾燥地帯で暮らしていたその女性は、まさに馬に乗ろうという装いで、鞍(くら)と一緒に埋葬されていた。獣皮製の外套をまとい、羊毛のズボンと革製の長を履いていた。 中国新疆ウイグル自治区のトルファン市近郊にある洋海(ヤンハイ)墓地で出土したこの鞍は、紀元前700年から紀元前400年ものと推定される。これまで発見された鞍の中では最も古く、誰が何の目的で鞍を使っていたかというこれまでの定説に疑問符が付けられた。(参考記事:「2500年前の墓から完全な大麻草13を発見」) 発見は「驚き」だったと、スイス、チューリッヒ大学の研究者で、学術誌「

    世界最古の鞍を発見、定説覆す女性所有者に驚き、約2700年前
  • 【動画】マダニは「飛べる」と判明、翅はなく跳べもしないのに

    誰も聞きたくないニュースだろうが、マダニは短い距離ながら重力に逆らって空中を移動できることがわかった。6月30日付けで学術誌「Current Biology」に発表された論文によると、ひそかに静電気の後押しを得て、宿主にたどり着くマダニもいるようだ。(参考記事:「危険なマダニ感染症から身を守るための基礎知識、春夏秋は要注意」) マダニはクモガタ類の寄生生物で、動物の血を吸わなければ生きていけない。「宿主を見つけることは、彼らの一生で最も重要な瞬間です」と語るのはドイツ、ベルリンにある自然史博物館の博士研究員であり、生物学者のサム・イングランド氏だ。 だが同時に、マダニはある問題を抱えている。跳躍できないのだ。しかも、マフィンに入っているケシの実くらい小さいものもいる。 マダニの多くの種は、草の葉によじ登り、フック状の脚を伸ばしてじっと宿主となる獲物を待つ。そして、シカやヒツジ、ネズミなどが

    【動画】マダニは「飛べる」と判明、翅はなく跳べもしないのに
  • 奈良公園のシカ、コロナ禍で「おじぎ」をしなくなる、研究

    奈良公園(奈良市)に生息する野生のシカが、新型コロナウイルス禍を経て耳と頭を下げる「おじぎ行動」を取らなくなっていることが、奈良女子大学などの研究グループの調べで分かった。観光客が激減すると奈良公園に出没するシカの頭数も減った。住宅街のカラスは生ゴミをあさるなど、生き物と人間の暮らしには密接な関係があることは知られていたが、人間活動が減ったことによる生き物への影響を調査した報告は珍しいという。 おじぎは「鹿せんべい」のためか 奈良女子大学研究院自然科学系生物科学領域の遊佐陽一教授(動物生態学)によると、野生のシカには元々、攻撃の前にストレスを感じると頭を下げる「おじぎ行動」が見られる。しかし、奈良公園周辺に生息するシカは観光客を見つけると「鹿せんべい」を求めて近寄り、おじぎ行動をとるという。同じようにシカとふれあえる観光地、宮島(広島県廿日市市)のシカはこのような行動を取らず、奈良公園周辺

    奈良公園のシカ、コロナ禍で「おじぎ」をしなくなる、研究
    Listlessness
    Listlessness 2023/05/28
    “シカは元々、芝やどんぐり、落ち葉を食べるため、米ぬかでできた鹿せんべいは食事の2%程度を占める程度で、おやつに過ぎない。”
  • 第3回 魚の色覚はすごい!

    色覚に関係する視物質オプシンには、大きく分けて5種類あり、それらは脊椎動物の共通祖先の時代には出揃っていた。 進化の初期の段階で、だいたいのレパートリーが出揃って、その後、刈り込まれていくような現象は、よく聞く。約5億年前に起きたいわゆる「生命のカンブリア爆発」では、生物の進化の歴史の中でも特筆すべき多様性が花開き、後に刈り込まれていったとされる。 見せていただいた「脊椎動物視覚オプシンのレパートリー」の表がとてもおもしろい。 「4種類の錐体オプシンと、1種類の桿体オプシンということで、5種類。それらを、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類、そして、哺乳類の中でも特に霊長類で、どんなものを持っているか表にしています。『○』をつけているのはそれを1個持っているという意味で、『◎』にしているのは、同じ型でも2つ以上の微妙に違ったサブタイプを持っている場合です。そうすると、魚類はすべて『◎』で多様

    第3回 魚の色覚はすごい!
  • 卵1万5000個! 巨大オムレツ祭りに行ってみた、フランス

    巨大オムレツづくりを見物する人々。フランス南西部のベシエールで撮影。(PHOTOGRAPH BY REMY GABALDA, GETTY IMAGES) フランスはフードフェスティバルが充実しており、マントンのレモン祭りからロスコフのタマネギ祭りまで、各地であらゆるべ物を祝う。しかし、フランス南西部ベシエールの巨大オムレツ祭りほど野心的なものはなかなかない。 3日間にわたって開催されるこの祭りは、ディナー、イースターエッグハント(卵探しゲーム)、パレード、パフォーマンスなどから成り、イースターの翌日の月曜日に壮大な料理を作ってクライマックスを迎える。1万5000個の卵を使った2000人分の巨大オムレツだ。(参考記事:「20年ぶりに開催!世界屈指のワイン祭り、スイス」) 以前、筆者(フランスのに詳しい旅ライターのキャロライン・ボイド氏)がこの祭りを訪れたときは、到着した時点で、すでに主催

    卵1万5000個! 巨大オムレツ祭りに行ってみた、フランス
    Listlessness
    Listlessness 2023/04/07
    フランスの芋煮会
  • 世界一黒い触れる素材、「至高の」暗黒シートを開発、産総研など

    可視光を99.98%以上吸収しほとんど反射しない「至高の暗黒シート」を産業技術総合研究所と量子科学技術研究開発機構の研究グループが開発した。カシューナッツの殻から抽出したポリフェノール類の「カシューオイル」の樹脂を利用。同じグループが2019年に開発した「究極の」シートを超えた黒さで、耐久性も良く、触れる素材では世界一の黒さとなった。 反射の少ない黒色材料は装飾や映像、太陽エネルギー利用、光センサーなど多分野で利用され、優れた材料が切望されている。炭素でできた円筒状の物質、カーボンナノチューブでできた材料はあらゆる光を99.9%以上吸収し世界一とされてきたが、触ると壊れてしまい実用が難しかった。 研究グループは2019年に「究極の」暗黒シートを発表した。これは加速器からイオンビームを照射するなどして、カーボンブラック顔料を混ぜたシリコーンゴムに微細な円すい状の凹凸を作り、ここに光を閉じ込め

    世界一黒い触れる素材、「至高の」暗黒シートを開発、産総研など
  • 小さな無人島「ハンス」で50年続いた、奇妙な領土紛争が終結

    グリーンランドとカナダを隔てるナレス海峡に浮かぶハンス島。カナダとデンマークが奇妙な領土紛争を繰り広げてきた小島だ。50年にわたり、両国の当局者が代わる代わる上陸し、国旗やウイスキーボトルを残していった。(PHOTOGRAPH BY DAVE WALSH, EYEVINE/REDUX) 強風が吹き抜ける北極圏の無人島がカナダとデンマークの思いがけない紛争を引き起こして数十年、世界地図が描き直されることになった。カナダ最北端とデンマークの自治領であるグリーンランドを隔てる幅35キロメートルのナレス海峡に浮かぶハンス島を巡る紛争で、両国が「領有権を分割する」と2022年6月14日に発表したのだ。 この合意を、両国の当局者は国際協力における画期的な出来事として歓迎している。ときには国旗や酒瓶も登場した50年にわたる非公式な「戦争」についに終止符が打たれた。 ハンス島の歴史 紛争とはいうものの、歴

    小さな無人島「ハンス」で50年続いた、奇妙な領土紛争が終結
  • 第5回 日本のマンガやゲームに北欧神話が広まった歴史をひもとく

    信州大学人文学部の伊藤盡さんは、研究の柱に「日のマンガにおける北欧神話受容史の萌芽研究」を掲げている。たしかに、日には北欧神話に題材をとったマンガはとても多く、少しでも関心のある人なら5つどころか10以上、挙げられるだろう。21世紀になってからは、いわゆるライトノベルで扱われることも増えた。もはやすべてを把握するのは不可能ではないかという水準だ。 こういった日人の北欧神話好きはどこから来て、今どのように結実しているのか。伊藤さんによれば、アジアにおいて北欧神話をかくも受容し、新たな文化的な創造物を送り出し続けているのは、今のところ日だけだという。我々は何をそこに見るべきなのか聞いていきたい。 そのためには、マンガに限らず日における北欧神話の受容史を、まずは簡単に解説してもらう。 「日で北欧神話が受容されていく中には、やっぱり転機は3回あったと思います。1回目は山室静さん(190

    第5回 日本のマンガやゲームに北欧神話が広まった歴史をひもとく
  • ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、宇宙空間での機体展開に成功

    宇宙空間での展開に成功したジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡の想像図。(ILLUSTRATION BY NASA) 2021年のクリスマスに打ち上げられたジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡が、最も難しいミッションである機体の展開作業を無事成功させた。折りたたんだ状態で宇宙へ打ち上げられた後、目的地を目指して移動しながら機体の各部位を展開させる作業は、万に一つの失敗も許されない危険なステップをいくつも踏む必要があった。 ウェッブ計画に携わる科学者やエンジニア、それを見守る宇宙マニアにとって、この15日間は緊張の連続だった。全ての段階を、一つずつ順番に、完璧にこなさなければならない。事前に地上で練習を重ねていたものの、実際に宇宙でどうなるかは予想がつかなかった。一カ所でも間違えば、始まったばかりのウェッブ計画は早々と終了してしまうかもしれなかった。しかし1月8日、主鏡の展開が成功したことによって、展開

    ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、宇宙空間での機体展開に成功
  • 太陽系に未知の惑星、99.6%存在、天の川の方向

    一部の天文学者たちは、太陽系外縁のどこかに、地球のおよそ6倍の質量をもつ惑星が潜んでいると考えている。(CALTECH/R. HURT (IPAC)) 太陽系にまつわる謎のなかでも特に興味深いのは、海王星の外側に巨大な氷の惑星が当にあるのかどうか、という問題だ。もし実在すれば太陽系第9の惑星となることから、仮に「プラネット・ナイン」と呼ばれているが、この仮説は、提唱された当時から賛否両論を巻き起こしてきた。一部の小さな天体が描く奇妙な軌道から推定されたものだからだ。 そんななか、米カリフォルニア工科大学の天文学者であるマイク・ブラウン氏とコンスタンティン・バティギン氏は、もしプラネット・ナインが実在するとすれば、これまで考えられていたよりも地球に近く、より明るく、見つけやすいだろうという分析結果を発表した。両氏による論文は、学術誌「Astronomical Journal」に8月22日に

    太陽系に未知の惑星、99.6%存在、天の川の方向
  • タイで話題の「陸を行進するエビ」、謎を解明

    淡水エビ(学名Macrobrachium dienbienphuense)の大移動。タイ、ウボンラーチャターニー県の急流ラムドゥアンの近くで撮影。(PHOTOGRAPH BY WATCHARAPONG HONGJAMRASSILP) タイには、毎年雨期になると、川を出て神秘的な夜の「行進」をするエビがいる。バンコクで生まれ育ったワッチャラポン・ホンチャムラッスィン氏は子どもの頃、テレビのそんな報道に心を奪われた。 ホンチャムラッスィン氏は生物学の学士号を取得した後、2017年にナショナル ジオグラフィックのエクスプローラーになり、米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で魚類の攻撃行動とコミュニケーションを研究した。それでも、子ども時代に強烈な印象を植え付けられたエビのことは忘れていなかった。 「わずか5分間の放送でしたが、20年間ずっと頭の中にありました」 行進するエビは観光客

    タイで話題の「陸を行進するエビ」、謎を解明
  • クランベリー農家らに危機感、忍び寄る温暖化の足音

    2020年10月、米国マサチューセッツ州カーバーのエッジウッド・ボグ(畑)で、ベルトコンベアからトラックの荷台に落とされるクランベリー。感謝祭の卓を彩る真紅の果実を収穫するため、クランベリー農家の人々は冷たい水をはった畑に入る。(PHOTOGRAPH BY JOHN TLUMACKI, THE BOSTON GLOBE, GETTY IMAGES) エルドリッジ一家が5年前に米マサチューセッツ州ケープコッドの小さな町にあるクランベリー畑を購入したとき、手入れが簡単ではないことはわかっていた。だが、覚悟はできていた。 彼らはクランベリーに絡みつく毒性の強いツタウルシを抜き、水をはった畑ではクランベリーを集める熊手を這い上がってくる蜘蛛を追い払った。寒い夜には、果実を凍らせないためのスプリンクラーをいつでも操作できるよう、畑の横にとめたトラックの中で寝た。 それでも毎年秋の収穫の喜びを思えば

    クランベリー農家らに危機感、忍び寄る温暖化の足音
    Listlessness
    Listlessness 2020/12/01
    特に多年生植物は逃げられないからなぁ。栽培適地の移動が速すぎると追いつけない