市立弓削田小に残る山本作兵衛の原画を手にする吉柳啓二校長と人気で売り切れたカレンダー=福岡県田川市で、山下恭二撮影 福岡県田川市で晩年を過ごした炭坑絵師・山本作兵衛(1892~1984年)。今年5月、絵画など697点が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に国内で初登録され、旧産炭地の沈滞ムードを引きずる市は明るい話題に包まれた。 「作兵衛効果」を示すのが、登録資料の多くを所蔵する市石炭・歴史博物館の入館者数だ。10年度約2万6000人から、今年度は11月で既に10万人を突破した。作品を収めた来年のカレンダーも販売初日に2000冊を完売。同数を追加販売しても数日で売り切れる人気ぶりだ。 来年も人気が続くのは間違いない。市観光協会の佐渡文夫会長(77)は「作兵衛さんの絵で、筑豊が日本の近代化を支えたことが周知された。来年は筑豊全体の浮揚につなげなければ」と気を引き締める。【荒木俊雄】