『戦争論』とデジタル時代の黎明 ここに一冊の漫画本がある。初版は1998年6月。漫画家・小林よしのりによる『新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論』(小学館)略して『戦争論』である。 当時、私は高校一年生になりたてであった。私も、そして少し政治や社会や歴史に関心のある学友は、みなこの『戦争論』と同『ゴー宣』シリーズを貪るように回し読みしたものである。 私は当時、19世紀プロイセンの将校クラウゼヴィッツの書いた同名書があることも知らない無垢の少年であった。 結果、『戦争論』は総発行部数90万部を突破して記録的なベストセラーとなった。漫画本とはいえ総頁数381という広辞苑なみの分厚さの本を読破した、というのが、当時の「亜インテリ少年」たちにとってある種の勲章となった。 まだインターネットが広範に普及する前のこの90年代末期、いや正確には、ネット接続は「iモード」を筆頭とした移動体通信による
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