夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。 「武家が戦を嫌がるとは何の冗談かっ!」 昼下がりの屋敷に雷のような大声がとどろきわたり、池から鯉がぽちゃんと飛び出した。平安京の端っこまで聞こえたんではないかというその声に恐れをなした俺は、頭を下げてひたすら言いわけをするしかない。またフェイスブックで炎上したからだ。 バリバリの武家の流れを組む我が父君は右大将の風格を備えていてものすごく怖い。稚児の頭囲ほどはあろうかという腕の太さを誇り、都の中では朱雀門に住み着いた鬼を片手で絞め殺したと噂されているほどだ。隣の屋敷へ行くにも牛車を使うようなこの平安