これまで多くのミュージシャンを取材してきた。 編集長になって20年。ずっと取材を続けてきた人もいる。しかし会わなくなってしまう人が遥かに多い。昔、毎月のように会って取材して、ライヴに行って、プライベートを深く知るようになった人ですら、時と共に疎遠になっていく。 50歳を過ぎたあたりから、無性にその人たちに逢いたくなった。売れた売れない関係なく、編集者としての自分に何らかの影響を与えた人と、今、話をしたかった。 今回はL⇔Rの黒沢秀樹に会いに行った。兄でありL⇔Rのメインコンポーザーであった黒沢健一は、脳腫瘍で5年前に亡くなっている。L⇔Rが30周年のアニバーサリーを迎える中、今彼が思うことを聞きたかった。 アーティストとして考えると、兄貴には逆さになっても勝てないから会うのはいつ以来だろう。 三軒茶屋の小さなバーで偶然会ったのが最後だから、確実に10年は過ぎていた。でもあまり変わらない風貌