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セクシー田中さんの問題、日テレのドラマ制作の現場では何が起きていたのでしょう。小学館の報告書を解説した「『セクシー田中さん』報告書に批判殺到の根本原因」に続き、日テレ側の報告書を読み解いていきます。 ② 脚本家の視点 ドラマの制作にあたっては日テレドラマ班のプロデューサーや脚本家などを含むコアメンバーによってストーリーが検討されます。この検討会議のことを「本打ち合わせ」ないしは「本打ち」と呼びます。 小学館の報告書では触れられていませんが、漫画原作のドラマ化にあたってストーリーを考えるのは脚本家単独ではありません。プロットから脚本までの内容はコアメンバー5名(後半から6名)による合議で決まるのです。 日テレの報告書によれば「原作を大切にしよう」という話はコアメンバーの間で当初から共有されていました。原作者が問題視した脚本家も本人は「原作漫画がしっかりしているので、大きく変える必要はない」と
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2022年に開催されたアカデミー賞授賞式の舞台でクリス・ロックに平手打ちをした直後、ウィル・スミスは「俺の妻の名前を口にするな」と、2度も叫んだ。それからまもなく主演男優賞を受賞すると、涙を流しながら、「愛は狂ったことをさせるものだ」と言った。 そもそもスミスが怒ったのは、プレゼンターを務めたロックが、彼の妻ジェイダ・ピンケット・スミスをジョークの髪型をネタにしたからだ。最初はスミスも笑ったが、横でピンケット・スミスが顔をしかめているのに気づくと、突然立ち上がり、舞台に上がってロックに暴力を振るった。 「あの行動は妻を守るためで、愛の証し」 世間には(少なくともアメリカでは)まるで受け入れられなかったものの、それが彼の言い訳だった。 回顧録で暴露された真実 しかし、事件から1年半が経つ今、その“筋書き”は真実でなかったことがわかった。その真実を明かしたのはピンケット・スミス。しかも、彼女は
ロバート・ダウニー・Jr.とエマ・ストーンの振る舞いは、人種差別か。オスカー授賞式以来、その話題が日本のメディアを騒がせている。 「日本のメディア」とあえて書いたのは、お膝元のアメリカにおいてはあくまでソーシャルメディア上における騒ぎであり、メジャーな新聞や業界サイトはほとんど取り上げていないからだ。それはなぜか。とりあえずは、授賞式を見ていない人のためにも、あらためて何が起きたのかをここで振り返ってみよう。 恒例のハグをしなかった まずは、授賞式が始まって比較的すぐだった助演男優部門の発表。今年、授賞式のプロデューサーは、演技部門に関して、過去に同部門を受賞した5人をプレゼンターとして舞台に立たせた。2009年に試したスタイルを久々に復活させたものだ。 封筒を開け、受賞者にオスカー像を手渡すのは、昨年の受賞者の役目。助演男優部門の昨年の受賞者は、『エブリシング・エブリウェア・オール・アッ
日本に中国から多くの知識人が押し寄せている。中国で言論統制が厳しさを増しているためだ。属性はジャーナリスト、人権派弁護士、ドキュメンタリー映画の監督、出版業者、学者、芸術家と多岐にわたる。あたかも清朝末期に日本で西洋思想を吸収した後に帰国し、辛亥革命(1911年)をリードした先人たちのようだ。 そうした知識人の例として真っ先に挙げられるのが、歴史学者で経済学者の秦暉(しん・き)氏だ。 リベラル派の大物で、2015年には、清朝帝政の呪縛から解き放たれた中国で立憲民主主義が定着しなかった経緯を検証した著書、『走出帝政 (「帝政を抜け出す」)』(邦訳未刊)が発売停止に追い込まれた。現在は東京大学客員教授を務める。 秦氏は都内の大学などで2023年から「全球化和亜州(グローバリゼーションとアジア)」と題する連続講座を実施中で、毎回超満員となっている。 「東京で中国を再建する」 近代史に精通した作家
先日、「ヴィレヴァンが知らぬ間にマズいことになってた」という記事を書いた。ヴィレヴァンの業績が低迷しているというニュースを受けて、その理由を考えたものだ。 で、この記事の反響がすごかった。SNS上では記事に対するさまざまな反応があふれ、多くの人がヴィレッジヴァンガード(以下、ヴィレヴァン)に対して、複雑な思いを抱いているんだなあ、と改めて認識した。そのポストで描かれるヴィレヴァンへの思いや、「このような視点でもヴィレヴァンの衰退を考えられるのではないか」といった投稿を読むのが面白かった。 そこで、その反応を受けて今回は「じゃあ、ヴィレヴァン、どうやったら復活できるのよ」ということを考えてみたい。前回の記事を読んで、感想を書いていただいた人の反応を踏まえつつ、みなさんへの感想のアンサー記事ということで……。 前回の記事にはこんな反応があった といっても、たぶん前回の記事を読んでいない人も多い
「遊べる本屋」、ヴィレッジヴァンガード。「ヴィレヴァン」として全国に店舗を広げる同店だが、知らないうちにそこそこマズいことになっていたらしい。 というのも、2023年11月中間決算によると、営業損失が7億4900万円で、前年同期の1億7600万円の損失から赤字が拡大しているからだ。既存店の数はここ数年で減り続けており、それによる単純な減収、そして人件費や物価高の影響も響いている。 売上高ベースで見ると、2016年5月期が最高収益で、467億5800万円。ただし、そのときも営業赤字は2億円ほど出ている。2007年に買収した中南米雑貨の「チチカカ」が、その経営の足を大きく引っ張っていたようだ。 2017年にはチチカカを売却し、ヴィレヴァンのみでの営業を続けているが、その後も黒字化と赤字転落を繰り返し、経営の足取りはふらついている。 ヴィレヴァンのジレンマ ライターの不破聡は、こうした迷走の背景
野外音楽フェスティバル「ROCK IN JAPAN FESTIVAL(ロック・イン・ジャパン・フェスティバル、通称ロッキン)」をめぐるニュースをきっかけに、SNS上では「報道のあり方」が議論されている。 今年のロッキン最終日の8月13日に発表される予定だった次回開催地が、NHKによって「ネタバレ」されてしまい、公式発表まで報道を待つよう求めていたロッキン側が抗議。ネットユーザーも巻き込み、「約束を破るな」「配慮不足」と非難するロッキン擁護派と、「取材で得た情報を報じるのは当然」と主張するNHK擁護派が、論争を繰り広げている。 ネットメディア編集者となって10年以上、「情報の扱い方」と向き合ってきた筆者からすると、この応酬は「雑誌とニュース報道の温度差」を強く感じる事案に思える。そこで、今回のコラムでは、「『ニュースバリュー』の捉え方の違い」「『情報統制』や『忖度』の捉え方の違い」「カルチャ
世界は連日、パレスチナ自治区ガザでイスラエルの攻撃によって子どもを含め、大量の一般市民が犠牲になっている惨状を見せられている。結果的に中東への基本的知識がなくとも、瓦礫の中で血に染まる犠牲者の映像に毎日触れ、心が揺さぶられている。 人道危機に陥ったガザ市民を救うべく、欧州連合(EU)をはじめ、多くの国々が人道回廊をつくり、一般市民の犠牲を最小限にとどめるための市民の脱出ルート確保と水や電気、食糧、医療支援などのライフラインの復旧をイスラエル政府に迫っている。 客観性や科学的合理性では事象を読みにくい中東情勢 中東情勢ほど分析や理解が困難な地域はないといわれる。理由は、中東で発信される言論がつねに客観性に欠けたプロパガンダや主観的主張に覆われているからだ。そのため客観性や科学的合理性を重視する欧米のコンテクスト(文脈)からすると、発生する事象を正確には読みにくい。 日本国内ではユダヤ系、アラ
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──9月7日のジャニーズ事務所の記者会見後、雪崩を打つように企業がジャニーズタレントのCM起用をとりやめています。この動きをどうみていますか。 人権尊重を重視する姿勢を打ち出す企業が増えていることには敬意を表する。ジャニーズ事務所が適切な是正策を取るように促すプレッシャーになっていると思う。その意味では評価している。 だが、従来のリスクマネジメントやコンプライアンスの観点で、CM起用中止などを行っているように見える。「ビジネスと人権」という新しいコンセプトは従来のアプローチと違う。そこをスポンサー企業が十分に理解しているのかは疑問だ。 リスクマネジメントと目線が異なる ──ビジネスと人権の考え方では何が違うのでしょうか。 国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」や、日本政府の「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」は、取引停止を「最後の手段」と位置づけている。 取
ChatGPTを用いて学習を進めることは、非常に楽しく、また便利な方法だ。しかし、その回答には誤りが含まれている可能性がある。したがって、このような学習方法を採用すると、誤った知識を身につけてしまう危険がある。これに対して警告を発することは、緊急の課題だ。昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第102回。 ChatGPTは誤った回答を出すことがある ChatGPTなどの大規模言語モデルは、誤った回答を出すことがある。これは「ハルシネーション」と呼ばれる現象であり、深刻な問題だ。ChatGPTは2021年9月までのデータしか学習していないため、それ以降の事柄については答えられないはずだ。それにもかかわらず、答えを出すことがある。また、2021年9月以前の情報についても、頻繁に間違う(具体的な例は後述する)。 BingやB
先月21日にアメリカなど各国で公開されたクリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』が、大ヒットしている。“原爆の父”として知られるJ・ロバート・オッペンハイマーの伝記映画で、上映時間は3時間、観客の年齢が限られるR指定であるにもかかわらず、興行収入はすでに4億ドルを超えた(日本での公開は未定)。 シリアスな映画が苦戦しがちな近年、これだけの数字を叩き出せるのは、さすが全世界にファンを持つノーランならではだ。シネマスコア社による観客の評価は「A」と、満足度も高い。 R指定の理由はバイオレンスではない だが、一部からは疑問の声も聞かれる。原爆を作った人の話であるのに、広島、長崎の被害の状況がまるで映し出されないのだ。筆者もそこは意外に感じた。日本で公開が決まっていなかったり、大人向けのR指定を受けたりしたのは、被爆地の恐ろしい状況が描かれるからではないかと思っていたのだ。 しかし、スト
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事件後、テレビで見る徹也の顔は、死んだ彼の父親つまり私の弟にそっくりである。その昔、6畳の古びたアパートでシングルマザーだった母と私、弟の3人で暮らしていたときのことを思い出す。弟は京都大学工学部に入学し、学者の道を志した。その夢は紆余曲折があって潰えるのだが、徹也もまた、父親と同じ大学に進学したいと志していた節がある。 夢は叶わず、徹也は今、拘置所で時を過ごしている。それもまた天命であろう。 本人に確認したい 私はこの間、徹也の受刑や出所した場合の環境作りに専念しており、その見通しが立つまで本人と面会するつもりはなかった。公判はセレモニー(儀式)であり、法曹3者(裁判官、検察官、弁護士)に委ねておけば足りると考えていたからである。 ところが昨今、拘留されていて漏れてはならない徹也の言動がマスコミを通じて報道されている。その内容も、到底、徹也の意思によるものではないと思われるものが散見され
90年代に一世を風靡したPUFFYの「アジアの純真」。このパロディ版が、2月1日から発売されたマクドナルドの新商品「アジアのジューシー」のCMで使用され、それについてネット上で賛否両論の声が上がっている。 「女性自身」の記事では、タイトルに「『PUFFYオマージュ』に違和感続出『最悪のパターン』『中途半端』」とあるとおり、批判的なトーンでまとめられている。続いた「J-CASTニュース」の記事「マックの『PUFFY風』CMはなぜ叩かれたのか」においては、「元ネタへのリスペクト不足」が不評の理由と紹介されていた。 確かに、「ぎりぎりPUFFY世代」と言えなくもない40代の著者自身、最初にこのCMを見たときは、ちょっとした違和感を覚えた。だから、反発する意見が出ていることに不思議はない。 一方で、Yahoo!のコメント欄では、CMよりも記事の批判的な論調に対して「違和感」を示す意見のほうが目立っ
「あれがすべてのきっかけだった」。あるコンビニ大手の幹部は、業界をめぐる昨今の動きをそう振り返る。 24時間営業を取りやめたセブン-イレブンの元加盟店オーナーに対する、フランチャイズ(FC)契約解除の正当性が争われた訴訟。6月23日の大阪地裁判決は、セブン-イレブン・ジャパンの主張通り、契約解除は有効だと認めた。 舞台となったのは、大阪府東大阪市にある「セブン-イレブン東大阪南上小阪店」。同店オーナーだった松本実敏氏は2019年、人手不足などを理由に、セブンとの間で書面での合意がないまま24時間営業から時短営業へと切り替えた。 一方のセブン側は2019年末、顧客への乱暴な言動などを理由に松本氏との契約を解除し、2020年1月には店舗の明け渡しを求めて提訴。これについて松本氏は24時間営業をやめたことへの報復だとして、契約解除の無効を求める訴訟を起こして泥沼化していた。 世論や国の動きに焦っ
新型コロナクチンの接種が始まって、まもなく2年になる。ワクチンで多くの命が救われた一方で、「泣き寝入り」を強いられる人たちもいる。重い副反応と疑われる病症で亡くなった人と、その遺族だ。 健康を保つための予防接種で、まさか命を落とそうとは誰も思ってもいない。しかし、頻度は低いとはいえ、重篤な副反応は必ず生じる。免疫の仕組みは極めて多様・複雑で、未知の領域が広がっているからだ。その「まさか」が起きたとき、接種と死亡の因果関係の証明という壁が立ちふさがり、遺族への補償は顧みられず、泣き寝入りを余儀なくされる。 このままでは「安全・安心」をうたうワクチンへの信頼が揺らぐ。反ワクチン陰謀論がかき立てられる理由もそこにある。 被害者の救済が進まない理由 なぜ、被害者の救済が進まないのか。制度の「落とし穴」を探ってみよう。 厚生労働省は、ワクチンの副反応による健康被害に対し、2つのしくみで臨んでいる。前
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