電子機器製造工場からの相談 ほんの数年前を思い返すと、クライアントといえばAIを初めて導入する企業がほとんどだった。だが、ここ最近は、AIの導入を経験済みの企業からの相談も珍しくなくなった。これを裏返してわかりやすく言うと、「失敗した案件」の相談だ。これは、ある電子機器の製造工場のデジタル化推進担当者からの支援要請だった。 「1年ほど前にAIを搭載した検品システムを導入しました。ですが、思ったように精度がでないのです。うちの工場では1日に1万個の製品を製造し、このうち10個ほどの不良品が発生します。AIが完璧でないことは理解しています。なので、100%の不良品検出はできないとしても、せめて9割の目標を達成したいと考えています。当初発注したAIベンダーにもそうお願いしていたのですが・・、やはり9割という精度は現実的ではないのでしょうか。」 確かに9割の精度目標というのは、技術的にはかなり難し