[報告書目次] アジア地域の安全保障と原子力平和利用 進展する中国の東シナ海石油開発と海洋調査 平松 茂雄 杏林大学教授 1. 平湖ガス油田の完成 中国が東シナ海の日中中間線(後述)近くの平湖ガス油田に、海底石油採掘施設(別掲写真)を完成させた。平湖ガス油田は上海の東南方約400キロの東シナ海大陸棚に位置する。中国は1970年代に同大陸棚の石油探査を実施し、1980年代に入ると日中中間線に沿った中国側海域の二十数ヵ所で試掘を行なってきた。そして1980年代末までに中間線の真ん中に位置する大陸棚、なかでも平湖ガス油田が最も有望となった。天然ガス主体の中型石油天然ガス田で、総面積240平方キロメートル、確認されている軽質原油とコンデンセート油の埋蔵量は826万トン、天然ガスの埋蔵量は 146億5,000立方メートルである。 1992年に上海石油天然ガス公司が設立され、1994年から具体的な準