はしを使って食文化を築いてきた東洋人は、スープを器から直接"すする"習慣がある。西洋人からみると、これはとても野蛮な食べ方だという。音がするし、だいいち犬のように見える、という。 しかし、それはスプーンとナイフから見た価値観の話であって、では「そば」を、音を立てずに、あるいは器に口をつけずに食せ、といわれても、これほどぶざまで困難なものはない。スプーンとフォークでそばを食べろ、といわれても、それはまとも食べられない。趣がないのではなく、うまくたべることができない。なぜならば、そもそもそばというのは箸で食べるものとしてデザインされてきたものだから。箸の観点でみれば、「そば」ほど合理的で洗練された食はないという話である。 **************************** ヌードルという英語があって、これは「麺」という意味に訳されると紹介されているけれど、実際のところ英米でヌードルとはス