アベノミクスというのは不思議な政策で、狙っていた効果は不発だったのに、予想外の効果で成功を収めるという経緯をたどった。一口で言えば、運が良かったのであるが、これも実力のうち。時宜に応じた政策を選ぶのは、たやすくない。その証拠に、ようやくデフレの門口まで来ていながら、やらずもがなの一気の消費増税で、すべてを水泡に帰そうとしているわけだから。 ……… 異次元の金融緩和で円安を実現し、輸出増大によって経済成長を牽引するというのが、アベノミクスの基本戦略である。前段は、異次元緩和がなくても実現する国際環境にあったとする説もあるにせよ、その流れに乗り、見事に「幸運の女神の前髪」をつかんだのだから、立派な功績である。ただし、後段の、輸出で牽引するという、日本が従来から得意としてきたパターンは不発に終わった。 輸出の伸び悩みの原因は、日本企業の海外生産が円高の間に進展していたこと、世界経済の成長が緩慢だ
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