中学生の頃からロックキッズだった僕にとってNYは憧れの街だった。まずなによりも70年代の中頃に輝きを放ったNYパンク、その中でもテレヴィジョンとパティ・スミスは別格で、彼らの1stアルバムである「マーキームーン」と「ホーセス」はそれこそ(もうCD時代だったけど)すり切れるくらい聴いた。タイトでシャープな演奏と熱いのか冷たいのか分からない鼻にかかった歌唱は当時「ロックはヘヴィメタしか認めない」と意気がっていた僕の青臭い主義と感性に揺さぶりをかけ、「ヘヴィーメタルと違って音は細くて簡素なのに何故こんなにも”過激”に聴こえるのだろう。いったい音楽って何だろう?」と今に至るグッド・ミュージック探究の端緒となった。小学生の頃に好きだった歌謡曲、そして当時流行っていたヘヴィメタで僕の音楽遍歴が終わっていたら、「ポップスやロックはキッズやティーンの音楽だよ。もうオジサンの自分とは縁がないね」と余裕かまし