失業と貧困に苦しむ僕たちに、国は何もしてくれなかった。すさんだ生活を送っていたけれど、ウーバーが進出してきたおかげで職を得て、働く意欲と夢が持てるようになった。なのに、いま新たな規制が、状況を逆戻りさせようとしている──。世界中で急成長するベンチャーがフランス社会を大きく変えつつある現状を、英有力紙がレポート。 この仕事がなかったら、刑務所にいた パリ北部郊外の町ボビニーに暮らすババ(24歳)はよくこう言う。 「僕はウーバーのおかげで刑務所から出られて、今日まで戻らずにすんでいるんだ」 高校を中退したババが軽犯罪に手を染めるようになったのは10代の頃だ。パリ郊外に多い、失業率の高い移民コミュニティには同じような若者が少なくない。 ババは17歳のとき、強盗で4ヵ月の刑を言い渡された。18歳未満だったため有罪判決の記録は抹消されたが、2012年には再び刑務所へ戻ってしまった。 当時、配車サービ