今、私の手元に1枚の古い写真がある。 43年前の早稲田大学野球部・夏の軽井沢合宿。 当時の『アサヒグラフ』さんだったか、『週刊ベースボール』さんだったかが取材にやって来て撮った写真。実際に、雑誌に掲載されたものだ。 以前、この写真を眺めていたら、後ろからのぞき込んだ人にこう言われた。 「あ、戦時中の写真ですね」 なんの疑いもなくそう言われ、なるほど……と、かえって納得したものだった。 背景のうっそうとした樹木。その前に居並ぶげっそりと疲れ果てた表情の男たち。モノクロ写真でもはっきりわかる汗とドロの染み込んだ衣服。そして、一様に、修行僧のような坊主頭。 「すいません、ジャングルから出てきた敗残兵かと思いました……」 確かにそこには、スポーツに打ち込む若者たちのはつらつとした生気も感じられなければ、希望に燃えた前向きの輝きもない。 ひたすら、苦しいだけの時を耐えに耐え、さらにまだこの先にもいく
![野球部の坊主頭はいつまで続くのか。大学では消滅寸前、高校はまだ現役。(安倍昌彦)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/c61596f7fe7c14e41867f856da1a9e4ebbbc8975/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fnumber.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2F1%2Ff%2F-%2Fimg_1faf75a684d76fb794ea719079388dc6146238.jpg)