小田切博の「戦争はいかに「マンガ」を変えるか アメリカンコミックスの変貌」(NTT出版)が二千数百円払った価値アリ。アメコミ二等兵な自分には初出のことばかり。たいていのことが面白い。 少ない知識の中で、なんとなくずっと疑問に思っていた、バットマンは例えばゴッサムシティの外からやってくる力や外で起こってる正義や悪には力を持ち得ないのだろうか?関心がないのだろうか?という疑問は、あまりに他愛無かった。 今のところ最大のショックは、「9.11」に対して作家と出版社が立ち上がったチャリティーコミック(「9.11」ショックに対する作家の自己治療の側面をもつ)が、模範的な愛国心の発露として世間に評価され、その後のアメコミ業界が好景気に沸く状況を後押しした、という指摘。それ以前から進められていた流通改革が好景気の最大要因だったとしてもブースターの役割は明らかに果たしたと。 崩壊したWTCの前に立ちすくむ