京都地判平成21年9月29日では、下記の事実が認定されています(原告Aは元被疑者、原告Bは、その被疑者国選に選任された弁護士。)。 10月9日取調べにおいて,原告Aが,本件店舗の店員を殴ったり,蹴ったりはしていない旨,また,Eが万引きしたことは,本件店舗から出た後に気付いた旨,それぞれ供述したのに対し,C検事は,「そんなん嘘や。誰がお前らのことを信じる。」と大声で言い,脚を組んで椅子に深々と腰掛けていた体勢から,上側の脚で机の天板の裏側を蹴り上げ,「ドン」という大きな音を立てたこと,更に,C検事は,原告Aに対し,「Mだけか,まともなのは。」「お前もNもくずや,腐っている。」「誰がお前らのことなんて信じるんや。」「お前らが何て言おうと,強盗致傷で持っていく。」「とことんやったるからな。」等と言い,挙げ句に,「お前としゃべっていても話にならんから帰れ。」と言って,取調べを打ち切った 10月17
大阪地裁昭和49年5月28日労働判例205号35頁は、次のように判示しています。 右の申請人の暴行に至る動機、態様、労務委員会当時における会社側の結果の認識および前認定の申請人の酩酊の状況等から考えると、申請人の所為は、会社創立記念日の祝宴における所為としては全く相応しくない非常な行為であるとの非難を免れないが、しかし酒に酔ったうえでの行為であり、意図的に暴行を加えようとしたものとは認めがたく、かつその傷害の結果も偶発的なものと認められるから、申請人に対し、会社就業規則第七四条二号にいう「他人に暴行を加えた」という理由で懲戒解雇に至ることは、その処分に至る事実の評価が苛酷に過ぎ、その情状の判定、処分の量定等の判断を誤ったものというべきであり、結局その処分が客観的妥当性を欠くが故に、就業規則適用の誤りとして、懲戒解雇は無効と解するのが相当である。 まあ、脚本家だの漫画家だのという通常であれば
提出された法案に憲法違反の疑いがある場合、主に判事や検事の出向組からなる内閣法制局に憲法判断をさせるのではなく、各会派が推薦する憲法学者からなる審議会に諮るようなシステムにした方がよいのではないかと思ったりします。 その場合、結論が一つにまとまるとは限らないですが、両論併記されれば、それでもその法案を成立させるべきか否かを各議員が判断することができますし、合憲論が少数(例えば、N大学のM先生以外みんな意見説とか。)に留まりかつその論理に問題があるにもかかわらず議員の多数が当該法案の可決に踏み切った場合には、立法過程における過失を認定しやすくなりそうな気がします。 その場合でも、条文間の整合性とか、条文の言い回しの統一だとか、議員さんの手に余る事項はたくさんありますから、内閣法制局が不要になるとは思いませんが。
朝日新聞の報道によれば、 鳩山内閣は26日、民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体による土地取引事件をめぐり、「(報道機関への)情報漏洩(ろうえい)があったとは考えていない」「(検察当局が)捜査情報や捜査方針を外部に漏らすことはない」とする答弁書を閣議決定した。鈴木宗男衆院議員の質問主意書に答えた。 とのことです。 このことからは、逮捕された後の石川議員の言動に関する情報は、弁護人が述べたことが分かっているもの以外は、報道機関による想像の産物だということが言えそうです。報道機関も、上記閣議決定に対して異議を述べていないことからすると、これまで、「見てきたような嘘を付」いてきたことを自認しているとみて良いでしょう。 以前私が担当していた事件でも、全国紙系の週刊誌が全くのでっち上げ証言をもとに特定の事業者を糾弾する記事を書いていたことがありますので、そういうことが全くあり得ないわけではありません
前回のエントリーに対し、vidさんが次のようなはてブコメントを残しています。 そもそもフェアユースが日本の法体系に馴染まないってのも問題なんだよな。日本は成文したものが「許諾」と言うやり方。米英は「フェア」をつど裁判で決めようというやり方。米英式に変えるにも法体系の問題があるし 果たしてそうでしょうか。 著作物の公正な利用に対する著作権の行使の制限を明文の定めなくして裁判所が行うということが日本の法体系に馴染まないという趣旨であればまだわからなくはありませんが、抽象度の高い文言の条文で私権の行使を制限すること自体が日本の法体系に馴染まないという趣旨であればそれは明らかに違います。なにしろ、日本の民法という基本的な法律の第1条には、 権利の濫用は、これを許さない。 という非常に抽象度の高い規定があるのですから。私は、民法第1条第3項は日本の法体系には馴染まないので、これを廃止して、私権の行使
ITスペシャリスト 前編では、検事としてのどこかユーモラスな日常についてうかがいました。後編では、最近急増している「インターネット詐欺」について、お話をうかがいます。 サイバー犯罪は「詐欺」が流行 ★最近のサイバー犯罪の傾向などはありますか? ―10年から15年のスパンでみると、かつては性犯罪や猥褻がメインだったのですが、最近は詐欺がメインになりましたね。昔は詐欺の比率は低かったんですよ。これが逆転しましたね。振り込め詐欺やオークション詐欺などがどっと出てきました。 ★オークション詐欺って、必ず検挙できるものなんですか? ―はい。オークション詐欺は水面下で警察が地道な検査を重ねますし、検挙技術を向上させていますから、表面だけ見ていると結構簡単に捕まるように見えるんですよ。オークションサイトにアクセスしてログが残るわけですから、それをたどっていけば必ず捕まってしまいます。オークション詐欺がな
池田信夫さんが次のようにつぶやいています。 日本の宅配ピザって高いなぁ。どこの国でも10ドルしないのに。「ピザの王将」が出てきたら、当たると思う。 全く、何を言っているのだか。 そんなことTwitterでつぶやいている暇があったら、すぐにでも大学をやめて(まあ、授業を途中で放棄されると事務局が大変なので3月末でもいいけど)、自ら「ピザの王将」を開業する。それこそが、「アゴラ起業塾」まで作って広めようとしている起業家精神というものです。 自分は、上武大学大学院経営管理研究科教授程度の職にしがみついて、「当たると思」っている「ピザの王将」の開業に踏み出すことができないでいるのに、どうして普通のサラリーマンに対し今の職を辞めてチェーン傘下のラーメン店を開業するように呼びかけられるのでしょう。 まず隗より始めよ、です。
日本の大学教授の給与水準を引き下げると「頭脳流出」してしまうと騒ぐ人たちがいます。 ただ、European University Instituteが公表する「Careers by Country」を見る限り、諸外国における大学教授(Full Professor)の給与水準って、日本と比べて高くはないようです。 米国ですら、Full Professorの平均年収が115000 $(1$=92円換算で約1060万円で、日本よりやや低い程度)です。仏国では、Normal ClassのLast Stageで月4,305ユーロ(1ユーロ=132円換算で約57万円)です。 Full Professorのスタート時は2940ユーロ(約39万円)です。独国では、Full ProfessorのGross monthly salaryが約4724ユーロ(約62万円)です。比較的給与水準が高い加国ですら、月7
ITスペシャリスト もはやセキュリティ界で知らぬ者はいないという、「ハッカー検事」こと大橋充直氏。コンピューターの知識と法律の知識を兼ね備えた専門家として、セキュリティのイベントなどでも引っ張りだこの大橋氏ですが、いわずもがな、本業はハッカーではなく、バリバリの検事さんなのであります。前編では、普段はなかなか知ることのできない、検事という職業の日常についてお話をうかがいました。 大橋充直(おおはし みつなお) 昭和33年12月横浜市生まれ。いて座のAB型。 昭和61年10月、司法試験に合格(41期)。修習地名古屋で PC-9801VM21を入手。検察修習中にワープロ調書第1号を提出し、民裁修習中に書式と1ミリも異ならないワープロ判決書を提出する。平成元年4月、検事に任官。ハッキング・テクニックの習得とウイルスプログラムの作成に執念を燃やす。平成8年10月、インターネット環境が整うと同時に
iPhone用の模範六法にも著作権法は収録されているのでしょうが,たぶん,著作権法施行令や施行規則,旧著作権法,ベルヌ条約やWIPO著作権条約等は収録されていないのでしょう。でも,これらって,まともに著作権法を学習しようと思うと避けて通れないのです。 さらにいえば,著作権法って,頻繁に改正されている法律なので,改正履歴がすぱっと調べられると嬉しいです。 ということで,iPhone用の著作権関連六法ってつくってみたいと思うのですが(iPhone用に設定されたWebを作るっていうのでもいいようにも見えますが,会議とかってSoftBankが届かないところで行われることも少なくないのです。),一人でそれをこなすのは大変です。プログラミングが得意な人を含めてプロジェクトチームが作れると嬉しいなあと思う今日この頃です。
弁護士出身の千葉景子参議院議員が法務大臣に選ばれました。 千葉大臣がまず行うべきことは、取調べの全面可視化を中核とする刑事訴訟法の改正作業を行うことでしょう。幸い、冤罪を生む余地を残すことに積極的だった勢力と連立を組む必要がないので、司法取引と交換条件とする必要もなく、録音・録画物の複製物を弁護人に交付しない(見たければ弁護人が自分自身で全部見ろ)などというばかげた付加条件も付けずに済みます。 次に行うべきことは、実務家の意見を聞くことなく推し進められている債権法の改正論議にブレーキを掛けることです。「こういう場合にどうなるのか」という想定問答の「問」の部分を研究者だけで作って研究者だけで「答」を作っても、だいたいうまくいきません。イレギュラーパターンの多くは判例になってませんから、研究者しかしていない人はイレギュラーパーターンの経験値が足りないのです。 さらに、保証制度の改正(特に、金融
民主党の渡辺義彦議員が自己破産手続き中であったことを報告しなかったことに関して,落合先生は「一種の議席詐欺と言われても仕方がないでしょう。」と言い,町村先生にいたっては,「この男、いやに堂々としていて、ジャンパーを頭にかぶるでもなくマスコミの前に出ているが、正気だろうか?」とまで言っています。 しかし,就職活動であれ,選挙活動であれ,マイナス評価を受ける可能性が高い属性をわざわざアピールしようとしないことは当然です。自分の属性のうち,ある種の有権者がネガティブに評価する可能性があるものは全て開示すべきだなんてルールを作り出したら大変です。それは,「私は,これほどの被差別属性をもっています」ということの表明を強いることに繋がりますし,それは,自分の有するその属性は差別ないし偏見を持たれるに値するものであるということを認めさせられることに繋がるからです。 その属性を有するか否かを開示するという
酒井法子さんの事件では、捜査情報がマスコミに随分と流されているようです。 被疑者のプライバシーを優先して、取調べ状況の弁護人への開示を制限すべきという意見を声高に叫び、それに賛同しない人間を素人扱いするヤメ検さんのブログがどこかにあったかと思いますが、プライバシー情報を流布させる主体が警察・検察であれば構わないというのはどこかおかしくないかなあという気がしてなりません。 虚偽自白による冤罪発生の危険を甘受してでも取調べ時に被疑者が語った内容は(弁護人に対してすら)秘匿されるべきだというのであれば、マスコミに迎合して、その求めに応じて、取調べ時に被疑者が語った内容や尿検査の結果等をべらべらとマスコミに話すことは真っ先に禁止されるべきではないかと思ったりします。 もちろん、被疑者のプライバシーを優先して、云々というのは、取調べ担当官のやり口を弁護人に知られないようにするための方便に過ぎないと考
報知新聞が次のように報じています。 先の衆院選で比例復活当選し、民主党大勝の象徴となった「小沢ガールズ」の代表格、田中美絵子氏(33)について、4日発売の写真週刊誌「フライデー」が過去にコスプレ風俗ライターとして活動していた前歴を報じている。今選挙ナンバーワンと称された美ぼうをもち、石川2区で自民党・森喜朗元首相(72)に善戦した田中氏の意外といえる過去だけに、話題を呼びそうだ。 その真偽の程は明らかではありませんが,だからなんだ,という感じがします。大学新卒時に読売新聞社や講談社に入社された方には見当がつかないのかもしれませんが,若くて経験の浅いクリエイターにとっては,とにかく作品をつくって発表することが,生活という面においても経験という面においても重要であって,そのためであれば,ピンク方面に進出することだって厭わない。そんなの当たり前ではないですか。それは必死に生きてキャリアを積み上げ
saposaposenさんは,「どこまでも陰険なイナゴさんへ」というエントリーについて, 争点関連証拠にモロに該当するのでは?/追記:「諏訪メモ」は「証拠物」(法316条の15第1項1号)で類型的証拠で開示対象では?「取調べメモに該当しないが証拠物として開示対象です。」という訂正を期待したが無駄か。というはてブコメントをつけてきたようです。 「改正法の最高裁判例と松川事件との関係」はどこに行ってしまったのでしょうか。改正刑事訴訟法に関連した最高裁判例で,「取調べメモに該当しないが証拠物として」開示を命じた例があるのであれば,その判決年月日を紹介して下さい。>saposaposenさん なお,刑事訴訟法316条の15は,公判前整理手続に関する規定であり,その時点で,「開示の請求に係る証拠を識別するに足りる事項 」を被告人または弁護人が明らかにした上で請求しなければいけないので,松川事件の諏訪
特定のブログ主を中傷したい人々にとって、中傷するネタの真否などはどうでもよいことのようで、どこかに中傷ネタがあるとその真否を確認したり等はしない傾向があるようです。 「松川事件の時と何が変わったのか」というエントリーに対し、wataru-ishizukaというはてなIDを用いて、 刑事訴訟法改正を知らない無知(類型的証拠開示,争点関連証拠開示:法365条の15~20) というはてブコメントを付けてきた方がいます。その後、このコメントの尻馬に乗るはてブイナゴさんはいても、その間違いを正そうという方はおられなかったようです。 少なくとも総務省が提供している法令データベースを見る限り、刑事訴訟法365条の15という規定はありません。六法等を見ていないのではないかという気もしてきます(っていいますか、360台って、上訴に関する規定です。)。。 類型的証拠開示に関しては、刑事訴訟法第316条の15と
誰にも制止されることなく被疑者に対してやりたい放題のことをする事実上の権限を捜査機関に与え,かつ,取調べの際に捜査機関が被疑者に対してどのような「働きかけ」を行ったのかを録音・録画するなどして客観的に証拠化することもしないことにより,その被疑者が実際に真犯人であるか否かにかかわらず,捜査官がその推測を被疑者による一人称形式で文章化した書類に署名・押印せざるを得ない状況を作り出した上で,そこに記載されている内容が自分の記憶内容と異なるということを被告人が主張した場合には,取調べの際に捜査機関が被疑者に対してどのような「働きかけ」を行ったのかについて,公開の法廷において,被告人及び担当取調官の証人尋問を行い,どちらの証言がより信用できるのかを裁判官に判断させる現行方式では,その証人尋問のために,裁判官,裁判員,書記官,廷吏,護送官,検察官,弁護人,被告人,当該捜査官等の時間が費消されることにな
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