米国の名門ハーバード大学のラムザイヤー教授が慰安婦問題や日本のマイノリティー(少数者)について書いた論文が、国際的に大きな波紋を広げている。「先行研究を無視し文献の扱いが恣意的だ」などとして米国の大学教授や韓国社会から批判の声があがり、日本でも学者らが抗議の緊急声明を発表。論文掲載の撤回を求める声が相次ぐ一方で、日韓の保守・右派からは擁護論も出ている。論争はどのように広がっているのか。 慰安婦問題をめぐっては、朝日新聞編集委員・北野隆一氏が昨年8月、『朝日新聞の慰安婦報道と裁判』(朝日選書)を出版した。朝日新聞の慰安婦報道に対して右派3グループが朝日新聞社を相手に起こした集団訴訟に加え、米国での慰安婦を象徴する少女像撤去を求める訴訟の顛末も記し、慰安婦問題をめぐる論争が海外でも広がった経緯をたどっている。その北野氏が、今回はラムザイヤー氏の論文をめぐる論争を読み解いた。 * * * 論