(左より) 小倉孝誠氏(慶應義塾大学教授)、工藤庸子氏(東京大学名誉教授)、熊谷英人氏(明治学院大学専任講師) 自由、平等、博愛……あたりまえだと思われていた価値がゆらぎつつある今、「近代」の原点であるフランス革命をめぐる著作が刊行された。『評伝 スタール夫人と近代ヨーロッパ:フランス革命とナポレオン独裁を生きぬいた自由主義の母』(東京大学出版会)の著者工藤庸子さん、『フランス革命という鏡:十九世紀ドイツ歴史主義の時代』(白水社)の著者熊谷英人さんに加え、『革命と反動の図像学』(白水社)ほか近代フランスの歴史・文学に関する多くの著作を持つ小倉孝誠さんに、革命史を読み直す意義について語っていただいた。 ヒラリーに見るスタール夫人の影 小倉 19世紀始めから半ばにかけてのフランスとドイツそれぞれでフランス革命史がどのように展開されたのか、また19世紀フランスにおける歴史学一般の諸問題、なかでも