芸術は役に立つのか、役に立たないのか。役に立つとすれば、何の役に立つのか。 この疑問に対する、私の知るかぎりベストの回答は、バウハウスの教授でもあったアーティスト、モホリ=ナギ(「モホイ=ナジ」とも表記)によるものだ。モホリ=ナギは、<芸術は感覚の研磨機である>とした。 この<芸術は感覚の研磨機である>という一節を含む、モホリ=ナギの著作『ザ・ニュー・ヴィジョン *ある芸術家の要約』(大森忠行訳 1967年 ダヴィッド社) は、私がもっとも好きな本のひとつだ。 この『ザ・ニュー・ヴィジョン』について、いまから10数年前、「ホットワイアード」の「CAVE」というコーナーに書いた紹介文を以下に再掲載する。 --- テクノロジーによって 原始的な人間性をとり戻すヴィジョン (初出 ホットワイアード「CAVE」1998年6月) http://hotwired.goo.ne.jp/cave/auth