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ブックマーク / sakstyle.hatenadiary.jp (6)

  • 桑島秀樹『崇高の美学』 - logical cypher scape2

    美学における「崇高」という概念についてまとめられた。 崇高とは、何か超越的な気高いものを指しているというわけではなく、むしろ山とか石とか地面とかいったものを徹底的に凝視することで感じられる感性的な価値である、というのがざっくりしたまとめ。 第1章と第2章は、バーク以前、バーク、カントまでの崇高という概念の歴史。 第3章は、大地への凝視という美学として、ジンメル、ラスキン、そして日の近代登山に見られた美学思想。 第4章は、テクノロジーと崇高の関係として、アメリカ的崇高とヒロシマの「アート化」について。 序論 石ころへのオマージュ 石を美的に見ることについて 第1章 「崇高」とは何か まず語源。漢字の崇高と、英語のsublimeそれぞれの語源の確認から。 バーク以前の崇高。まずは偽ロンギノスの崇高論。これは修辞的文体についての議論。その後長いこと忘れ去られ、17世紀に英語、フランス語に翻訳

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  • グレアム・プリースト『存在しないものに向かって 志向性の論理と形而上学』 - logical cypher scape2

    志向性*1について非存在主義を採用することで一般的な説明を与え、また同時に非存在主義についての擁護を行う。 非存在主義とは、存在しない対象についても指示や量化ができるという立場。マイノング主義ともいわれ*2、かつてラッセルやクワインによって批判された。 論理学が分かってないと読めない部分が多く、実際、自分はかなり読み飛ばした。なので、理解としてはあやふやな部分も結構あるが、それでもある程度の論旨は分かって、面白いだった。 非存在主義は、存在しない対象が、何か特別な形で存在しているとかいったそういう主張ではない。存在しない対象はいかなる意味でも存在しない。しかし、そうした対象を指示したり量化したりすることはできるという立場。 近年では、リチャード・ラウトリー(のちシルヴァン)が詳細な分析をすすめた(マイノング主義ではなく非存在主義と名乗ったのはリチャード)。彼は若くして亡くなったが、この

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  • 倉田剛『「現代存在論入門」のためのスケッチ』 - logical cypher scape2

    CiNii Articles 検索 -  現代存在論入門 著者が計画している『現代存在論入門』(仮題)という著書の「スケッチ」ということで、プロトタイプになるような原稿が公開されている。 普通の文章に混ざって、ヨシオ、ノリコ、タカシの会話文が挟み込まれるスタイルで書かれている*1。 序論から第九章までが構想されており、第一部では第一章と第二章、第二部では第三章と第四章、第三部ではおよそ第五章と第六章にあたると思われる部分が書かれている。 第一部 まえがき 存在論は形而上学の一部であると位置づける。ただし、形而上学の核心部分である。 何故存在論入門が書かれる必要があるのか。 (1)日語で書かれた適当な書物がないから。 (2)日で存在論というとハイデガーがイメージされることが多いが、そのような傾向を払拭したいから。 (3)哲学への手引きとして存在論がふさわしいから。 (4)存在論は、哲学と

    倉田剛『「現代存在論入門」のためのスケッチ』 - logical cypher scape2
    Nihonjin
    Nihonjin 2012/06/19
  • ケイティ・サレン/エリック・ジマーマン『ルールズ・オブ・プレイ(上)』山本貴光訳 - logical cypher scape2

    ゲームデザインについての理論書。 このは、まず第一には、ゲーム制作者向けの指南書であるが、ほどよく抽象的・理論的に書かれており、ゲームについて考えたり批評したりという人にも使えるようになっている。 ゲーム制作もゲーム批評もしないよって人にとっても多分それなりに面白い(自分はこの立場)。 ここでいうゲームは何かというと、ゲームの定義については書の中の議論に譲るとして、アナログもデジタルも含んだ色々なゲームについて書かれている。カードゲーム、ボードゲーム、スポーツの試合、アーケードゲームテレビゲームなど。 例としてあげられるゲームのほとんどはアメリカゲームで、正直僕は知らないものばかりだったけれども、文中でもわりと説明してくれるし、何より訳注がとても親切で言及される全てのゲームについて解説が付けられているので、知らないのばかりで読んでて嫌になるということはなかった。 このゲーム

    ケイティ・サレン/エリック・ジマーマン『ルールズ・オブ・プレイ(上)』山本貴光訳 - logical cypher scape2
    Nihonjin
    Nihonjin 2012/06/04
    ゲームデザインの本。
  • ティエリ・グルンステン『マンガのシステム コマはなぜ物語になるのか』 - logical cypher scape2

    フランスのマンガ研究書。サブタイトルにあるとおり、コマについての話で、物語論や記号論なども踏まえつつ、マンガの原理を明らかにしようとする。 マンガ批評、ではなく、マンガ研究であり、基礎的な概念を明らかにして名前を付けていくというような作業をしている。実際のマンガ作品からの引用もそれなりにあるし(ただし、図版の数は少ない)、決して分かりにくい話をしているわけではないが、とはいえそれでも抽象的・理論的な話も多く、またフランスのマンガ事情を背景としているので、なかなか一読して「よし、わかった」という感じのではなかった。 フランスのマンガ(バンド・デシネ(BD))を僕は一冊も読んだことがないし、そもそも有名な作家や作品の名前を知らないし、ましてやフランスにおけるマンガ批評・研究の文脈も全く知らないわけで、なかなか頭に入ってくるものも入ってこない読書だった。もったいない感じ。 【シンポジウム】第

    ティエリ・グルンステン『マンガのシステム コマはなぜ物語になるのか』 - logical cypher scape2
  • 三浦俊彦『虚構世界の存在論』 - logical cypher scape2

    分析哲学のアプローチによる虚構世界論。 と言われたところで、ほとんどの人には何のことかさっぱり分からないだろうが、問題設定自体はそれほど難しくない。 哲学には分析哲学と呼ばれるジャンルがある。 このジャンルは、もともと言語哲学というところから端を発しており、文が何を意味しているのか(真か偽か)を明らかにすることを目的の一つとしている。 そんな分析哲学、言語哲学にとって、厄介な文がある。 「シャーロック・ホームズの背中にはホクロがある。」 多分、コナン・ドイルのホームズをどれだけ読んだところで、この文が真か偽か分からないだろう ところで、この文は以下の文とは異なることに注意しよう。 「坂龍馬の背中にはホクロがある。」 やっぱり坂龍馬の伝記をどれだけ読んだところで、多分真か偽かは分からない。 しかし、坂龍馬に関していえば、彼の背中にはホクロがあったかなかったかどちらかである、ということは

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