小さい頃、親の都合で鹿児島の片田舎から大阪に引っ越した。さらに堺に引っ越して大阪の文化に慣れた頃だろう。小学校二年か三年の時、子供同士で流行った言葉遊びがある。「綿一貫目と鉄一貫目のどちらが重いか」と聞いて、相手を引っかける遊びである。尺貫法の関係で、今なら「綿一キロと鉄一キロのどちらが重いか」になるだろう。少し頭が鈍いと「鉄!」と応えて、友達に笑われる。ただ、それだけである。一度、引っかかり、分かってしまうと、この遊びはお仕舞いになる。 この遊びで、私は一度引っかかり、報復措置として数人の友人を引っかけた。その後、私は「綿」のふわふわとした感覚や「鉄」の冷たく硬い感覚と、全体の重量は別の問題だと認識した。比重の軽い綿でもたくさん集めれば一キロの重さになるし、小さな硬い鉄でもやはり一キロの重さになる。言い換えると、小学校低学年では、質の問題と量の問題を混同しがちであるということだ。 大人に