マラソン大会は何度か見に行った。父親が還暦を超えてからそういう趣味にハマってしまったからだ。12年間のランナーとしてのキャリアで26回フルマラソン大会に参加してすべて完走したのだから立派なものだ。私には真似できない。真似する気もなくて、それでも地元の大会のときにはゴールに出迎えに行ったりしたものだ。1万人から参加する大会ではランナーの群れは怒涛のようで、その振動を見ているだけで酔いそうになる。「ようやるわ」というのが正直な感想で、真っ赤な顔をしたり汗だらけになったりして苦しそうに走るランナーたちの姿には、あまり感心もしなかった。それでも父親がゴールしたときには、「よくがんばった」と讃えたいと思ったし、少しは誇らしくもあった。傍で見ていてもそういった感動があるのだから、本人にはこの上ないものがあったのだろう。途中で苦しいと思っても、棄権しようかと考えることがあっても、ペース配分を考え、規定タ