超有名な心理学実験「ミルグラムの服従実験」について、二つの記事に分けて検討していきたいと思います。この記事では、そもそも真に受けてよいような実験だったのかという「信頼性の問題」について扱います。 オリジナルのミルグラム実験については、その信頼性について重大な問題が指摘されているようです。多数の追試実験に関しても、果たして何をどこまで再現できたのかは細かく見た方がよいようです。また、信頼性の問題についてもないとはいえません。 なお、実験の手続と結果が信頼できるとして、そこからどのような現象がどこまで説明できるのかについては、「解釈の問題」として別の記事で検討する予定です。 ◆ 1 ミルグラム実験とは 1960年代に行われたスタンレー・ミルグラムによる服従実験は、社会心理学の中でも特に有名な実験です。「アイヒマン実験」とも呼ばれています。人間は、権威の命令とさえあれば、非倫理的な指示に対しても