お料理って舌に残っている味を再現することの繰り返しなんですよね。 だから、食べたことのないお料理は作りようがないわけです。 お料理の本を片手に作ってみても、それは似たようなお料理であって、そのレシピを開発した人の味ではありません。 ですから私は、一種類でも多くほんまもんのお料理を味わっておくことをお若い人にお勧めしています。 もしあなたが不幸にも母親からお料理を作ってもらえない育ち方をしていたとしても、これからあなた自身が自分の舌に覚えこませれば良いのですから、過去を振り返らずに将来に向かって希望をもってください。 ところで、「第5回 日本語検定」で文部科学大臣賞を受賞した森田悠生くんの作文をネットで読みました。 その作文にはまさにお料理の真髄ともいえる原点があって感動しました。 お母さんが病気前に作っていたお料理の味を覚えていて、それを再現しようとする悠生くんの姿に涙がこぼれました。