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ブックマーク / tomio.hatenablog.com (69)

  • 登美彦氏、かぐや姫を迎える。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    竹林はざわざわと揺れ続けている。 締切次郎は、登美彦氏のズボンの裾を引っ張っている。 「お願いします!『太郎』は、マジでやばい」 「ええい、かまわぬ。知ったことか!」 「太郎が来たら、それこそ何もかも、容赦なく締め切られてしまうのですよ。僕なんざあ、かなわねえ」 「じょうとうだ。太郎を呼び出して、おまえを蹴散らしてやる」 「分かんない人ですね!」 竹を切る腕におぼえあり。 登美彦氏はギコギコやりだした。 竹から発する橙色の光の中で、細かい切り屑がふわふわと舞った。 半ばまで切ったところで、どこからか「人生の柱時計」が時を告げる音が聞こえた。 ぼーんぼーんぼーんぼーん… えんえんと響いて鳴りやまず、ついに三十回を数えた。 「おや!」 登美彦氏は手を止めた。 「どうやら俺は三十路に入ったらしいぞ」 「これであなたも青春を失った」 「なんのこれしき、まだまだ!」 登美彦氏はさらにノコギリを動かす

    登美彦氏、かぐや姫を迎える。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2009/01/06
    裏切り者っ。ばかっばかっ。独身じゃないモリミーなんてきやいよっ。/しかしお姫様は締切次郎より手ごわいんじゃないだろうか。うむ。
  • 『美女と竹林』(光文社) - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    美女と竹林 作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/08/21メディア: 単行購入: 53人 クリック: 1,984回この商品を含むブログ (196件) を見る 森見登美彦氏はあまりに慌ただしい日々を送っていたので、我が子が誕生することをお知らせするのを忘れていた。 反省すべきである。 8月20日頃から書店にならぶであろう。 「しかし・・・この七番目の子どもは・・・」 登美彦氏は呟く。 「いくらページをめくっても、登美彦氏登美彦氏登美彦氏登美彦氏登美彦氏・・・出てくるのは登美彦氏ばかりである。そんなふうに出しゃばってきて、何をするのかと思えば竹を刈る。『そうか竹を刈るのかそれでどうする?』と思って油断していると、当に竹しか刈らない。ここで『おいおいマジかよ竹を刈るだけか』と思う人間は甘いのである。ついには竹を刈りさえしなくなる。埋め合わせに蘊蓄を語りだしてもあと

    『美女と竹林』(光文社) - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2008/08/19
    “そうか竹を刈るのか”竹は切るとか取るじゃないのか?竹取というし。タケノコは掘る。刈るのはアシとかヨシだろう。読めばそのヘンのことがわかるんだろうか。今回はしんどいのでサイン会いけそうにありません。
  • 登美彦氏、招待状を受け取る。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    枯れた創造の泉の岸辺に、森見登美彦氏が三角座りをしていた。 登美彦氏は二月頃からずいぶん長くそうしている。 全地球的規模で進む環境破壊は、辺境にある登美彦氏の創造の泉にまで及んだ。 荒涼たる岸辺に座る登美彦氏は、かつての泉を思い浮かべる― 小さな泉とはいえ、かつてそこには満々と何かの汁がたまっていた。ややねっとりとした液体で、水面には鼻の頭の脂が浮き、大学生協のみそ汁(二十円)みたいな匂いがしたが、ともかくも液体がたまっていた。頑張って柄杓をつっこめば、底のやわらかい泥の中に転がっている乙女チックな白玉団子を拾い上げることもできたのだ。そして乙女チックな白玉団子は、比較的口当たりがよく、ていねいに洗ってやれば泥の中に転がっていたものとは分からなかった。商売は繁盛した。 しかし今、泉は干上がり、底の泥がむきだしになっている。かつて登美彦氏に乙女を描かせた妄想の白玉団子たちも泥にまみれてカピカ

    登美彦氏、招待状を受け取る。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2008/04/03
    これを書いている時間で一行でもいいから書きやがれ!とおにの編集に思われてるな屹度。
  • 登美彦氏、新年の挨拶をする。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    謹賀新年。 「読者の期待にこたえない」 森見登美彦氏は布団にくるまってぶつぶつ言った。 二○○七年の登美彦氏のはしゃぎぶりは、目にあまるものがあった。 未来に絶望して四畳半で呻いてばかりいた登美彦氏が、おのれの力量もかえりみずにあちらこちらへ出頭没頭、立派な賞をもらったり、日放送協会の電波に飛び乗って全国のお茶の間に出向いたりした。いろんな雑誌に小説を書いた。 二○○七年の登美彦氏は生涯もっとも人気があったと言えよう。おそらく森見登美彦史を作る人(たぶん自分)は、「二○○七年は森見登美彦史上、もっとも華やかな年であった」と書くだろう。 登美彦氏も人の子であるから、多少、調子にのったところがある。 それはしかたがない。 ただ漠然と痩せているにすぎないものを、刻苦勉励に由来する痩身と見せかけて、婦女子のハートをねらい撃とうとしたりもした。まことに見えすいた手であったが、不特定多数の女性からフ

    登美彦氏、新年の挨拶をする。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2008/01/11
    むむむ。き、期待なんかしてやるものか!
  • 登美彦氏、締切次郎を倒す。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    さきほど森見登美彦氏は2007年最後の締切次郎をやっつけた。 多少、無理があったけれども、ともかくやっつけた。 「おめでとう。おめでとう。俺よ、おめでとう」 登美彦氏はそんなことを言っている。 でもまだこまごまとした用事が残っているのだ。

    登美彦氏、締切次郎を倒す。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2007/12/21
    “2007年最後の締切次郎をやっつけた”よくがんばった、感動した。しかしよくよく考えると締切次郎はノスフェラトゥだし、最期は負けるよね。なむなむ!(とおい、とおいしょうらいの登美彦ぼっちゃんに対して)
  •  登美彦氏、たたかう。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    森見登美彦氏は締切次郎と、くんずほぐれつ。 「こいつめ!こいつめ!」 常日頃は温厚な登美彦氏が、締切次郎をポカポカ叩く。 バイオレンスまたバイオレンス。 「いぢめないで!いぢめないで!」 締切次郎はうめく。 二人はさんざん戦ったすえ、いったん休戦した。 どうせまた明日も戦わねばならないのだ。 「はやく行ってしまえ!」 登美彦氏が煙草を吸いながら言うと、締切次郎は泣きべそをかいた。 泣きべそをかきながら呟いた。 「当は好きなくせに」 森見登美彦氏は怒り心頭に発し、また締切次郎を追い回した。 「好きなものか!好きなものか!」 登美彦氏まで泣きべそをかいている。 端から見ていると、小学生の喧嘩である。

     登美彦氏、たたかう。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2007/12/18
    “ 森見登美彦氏は締切次郎と、くんずほぐれつ”揉み合っているうちに愛が芽生えるかもしれんな。あ、名前からすると男だな。とするとウホッってことになるな。ま、21世紀だし、それも良いか。
  • 登美彦氏、師走の到来を告げる。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    登美彦氏は拳を固く握り、叫んだ。 「諸君!師走だ!」 今年も残すところあと〆切3つである。 森見登美彦氏の近況を報告しなければいけない、しなければいけない、と考えているけれども、登美彦氏があまりにもめまぐるしく動き回るので近況を書くことも困難である。登美彦氏はおおむね机上でうごうごしている。 そしてよく考えてみると、報告しなければならないことなど何もないのだ。 登美彦氏が不貞寝しようと、祇園で豪遊しようと、すべてを投げ捨てて逃げ出そうとも、一切はむなしい。 まだ今年を締めくくるには早いけれども、登美彦氏は以下のように語っている。 「来年の抱負は己を知ることである」 この場合、己を知るということは、締切次郎を駆逐するということである。 締切次郎を駆逐するということは、すなわち敵前逃亡するということである。 登美彦氏はなんとか敵前逃亡しようと策を練っている。 しかし逃げられない。 どうにもこう

    登美彦氏、師走の到来を告げる。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2007/12/03
    もりみんも先生だからな。原稿の上を、想像力の地平線目指して疾走してください。失踪はだめよ。
  • 「小説宝石」 12月号 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    美女と竹林 「登美彦氏の夏'07」 二○○七年の春から夏にかけて、登美彦氏はもみくちゃにされていた。 もみくちゃにされながら登美彦氏は、二十八年前、とりあえず居心地のいい<暗い部屋>から、この世へ引っ張り出されたばかりの頃のことを思い出した。 「当時も俺はもみくちゃにされていたっけ」 なぜなら、父方、母方、ともに初孫であり、その後数年は両家の愛情を一身に浴びることになったからである。あまりの太りぶりに「ぶうぶうパンダ」と呼ばれた登美彦坊やの行くところ可ならざるはなかった。

    「小説宝石」 12月号 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2007/11/21
    “父方、母方、ともに初孫であり、その後数年は両家の愛情を一身に浴びることに”6人の手でもみくちゃにされてイースト菌練りこんだ生地のようにぷぅ!と膨らんだ様子が目に浮かぶ。あかんぼう。
  • 登美彦氏、抗議する。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    この項目は削除しました。 当日誌の執筆者はこの項目を読み返し、基的に愉快であることを目指す当ブログに、登美彦氏個人の憤晴らしのためのような記事を載せるべきではなかったと反省した。たしかに、これはみっともないことであった。登美彦氏の不愉快も晴れず、読者も愉快でないとなれば、誰にとってもあまり益のないことである。 すでにお読みになった方々、ブックマークされた方々もいらっしゃるけれども、削除することをお許しください。 「サイン会その他で、イイ気になっていたのであろう。自戒せよ」 登美彦氏は言っております。

    登美彦氏、抗議する。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2007/10/14
    よほど腹に据えかねたと見えまする。奈良はいいところだと思うけどなぁ。田舎田舎と自虐が多いが、都であった所為かちゃんとした町だ。追い討つようだが、生駒を奈良と呼ぶべきか迷う(気分は大阪)すまん!/許す!
  •  『有頂天家族』(幻冬舎) - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    毛深い子、生まれました。 9月27日頃から書店に並ぶ模様。 出版にともない、東京あるいは京都にてサイン会が行われるというが、詳細はまだ分からない。 判明次第、告知する。 毛深い狸たち、京都上空を飛行する天狗たち、天狗を足蹴にする半天狗、狸をべてしまう人間たち、彼らがそれぞれ暴れ回る。 登美彦氏史上、もっとも毛深く、もっとも大風呂敷を広げた大活劇。 <登場する狸・天狗・人間たち> 下鴨矢三郎(主人公) 下鴨家第三男。 面白く生きるほかに何もすべきことはないようだ、と悟りを得て、いろいろなことをする。 「私はいわゆる狸であるが、ただ一介の狸であることを潔しとせず、天狗に遠く憧れて、人間をまねるのも大好きだ。したがって我が日常は目まぐるしく、退屈しているひまがない」 下鴨矢一郎 下鴨家長男。 狸界における政治的策謀に余念がない。堅物だが、正念場に弱い。 下鴨家を盛り立てるための企みは、駄目な弟

     『有頂天家族』(幻冬舎) - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2007/09/21
    ほぅ、下鴨とな…その名を口にするのには気をつけられたほうがよい。慎重に、しんちょうに…
  • 登美彦氏、驚く。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    森見登美彦氏がふと「うぃきぺでぃあ」を見ると、もう記述が変わっていたので驚いた。 「どなたか存じませんが、かたじけないかたじけない」 と登美彦氏は言っている。

    登美彦氏、驚く。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2007/09/16
    2ちゃんによると(!)、あの部分を書いたご本人が訂正されたようです。本人でよかったですねえ。
  • 登美彦氏、祝杯をあげる - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    学生時代、登美彦氏とともに大文字で肉を焼き、真夏に自転車で琵琶湖を一周して死にかけ、哲学の道で『善の研究』を読もうとして挫折し、地主神社で「恋が実る」石を手探りしておうおう泣いた戦友があった。 名を明石氏という。 登美彦氏が大学で学んだことの大半は、明石氏から教わったことである。 明石氏は登美彦氏の友人にして師匠であった。 明石氏という男なくして『太陽の塔』はなく、『太陽の塔』なくして今日の登美彦氏はない。 今をさること数年前。 登美彦氏は明石氏との妄想話を好き勝手に作り替えて『太陽の塔』に書き、おのれの恥部を満天下にさらす暴挙に彼を巻き添えにした。いざ、日ファンタジーノベル大賞を受賞して出版という運びになって、登美彦氏は心配になった。 登美彦氏は彼に電話をかけた。 「恥ずかしい過去が公表されてしまうが、いいか?」 明石氏は答えた。 「かまわん。俺は恥ずべきことは何もやっていない」 その

    登美彦氏、祝杯をあげる - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2007/09/13
    法科大学院か。まあよい。これで登美彦坊ちゃんはいつでも敵にパンチを繰り出せるようになったな。弁護は任せろっ!と。
  • 登美彦氏、流儀に反することをする。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    森見登美彦氏は、トップでもなく、ましてや走っているわけでもない。 にもかかわらず、NHKの「トップランナー」に出かけていくことを、一部関係者に明かした。 トップランナーではスタジオ観覧者を募集しているという。 だがしかし、わざわざ登美彦氏を眺めても、面白いことは何もない。 スタジオにはもっと他に見るべき人がある。 決してそういう場所には出まいと決めていた登美彦氏が、生涯唯一の例外を許した理由は、もはや述べるまでもない。

    登美彦氏、流儀に反することをする。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
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    Ooh 2007/07/31
    TVですよTV。自らを全国ネットで晒す。これほどまでの試練に立ち向かうとは、正直驚いた。ほんっっとーに好きなんだな。“生涯唯一の例外を許した理由は、もはや述べるまでもない”この夏いちばんの感動のストーリー
  • 2007-07-16

    森見登美彦氏の仕事について報告するのをすっかり失念していた。 ここにまとめて報告する。 報告をすっかり忘れていた小説宝石6月号7月号の「美女と竹林」については、今となってはやむを得ない。 美女と竹林 第八回「登美彦氏、外堀を埋めて美女と出逢う」 自分の作品が世の人に読んでもらえるようになるまでには、苦しい修行の日々を何年も過ごさなくてはならない。注目されることがなくても、うまく書けなくても、にしてもらえなくても、へこたれずに営々と努力しなくてはならない。そうして五年、十年、二十年と頑張った後に、ようやく日の目を見ることもあるかもしれないということだ。長い苦闘のすえに名作を書き、雑誌では特集が組まれ、「森見さんの原稿が欲しい」と目を潤ませた女性編集者がぞろぞろと京都へ乗り込んできて、ついには憧れの上まなみさんと対談できる日も来るかもしれない―というのが登美彦氏の思い描いた「作家の道」であ

    2007-07-16
    Ooh
    Ooh 2007/07/16
    坊ちゃんどきどきをブログの文字数で誤魔化す。の巻。  残念でした、チャンチャン!
  • 登美彦氏、近況。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    森見登美彦氏の近況を報告することを長い間失念していたので、どうやってこの記録を再開したものか分からない。 森見登美彦氏は山周五郎賞を頂くためにしぶしぶ、凍るに狂うと書く「凍狂」(byうすた京介)へ乗り込み、角川書店にて秘密の打ち合わせをし、罠にはまって連載を始めることになり、『夜は短し歩けよ乙女』を漫画にしてくれている琴音らんまる氏と対面し、ホテルオークラへ行って控え室で怯えていると、選考委員の人たちが続々と入室してきたのでさらに怯えながらご挨拶をし、初めて恩田陸氏に対面して「文藝」にて浮かれて自意識過剰な質問をしたことをお詫びし、同室にいた佐藤友哉氏にはなんとなく恥ずかしくて声がかけられず、やがて授賞式が始まると佐藤氏や恩田氏のみごとなスピーチに圧倒されてしどろもどろとなって自己嫌悪し、受賞パーティではたくさんの人に頭を下げて腰を痛め、ファンタジーノベル大賞の同窓生の人たちに久しぶりに

    登美彦氏、近況。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2007/07/08
    “「そういえばありがたくも直木賞の候補にしてもらったのであった」” なぬなぬ!それはめでたい。
  • 登美彦氏、こっそり言う。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    森見登美彦氏は京都のとある街角でふいに立ち止まり、かたわらを歩く女性にそっと耳打ちした。 「じつはまだ、毛深い子、完成してへんねん」

    登美彦氏、こっそり言う。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2007/05/31
    女性編集者涙
  • 登美彦氏、スランプから復活。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    森見登美彦氏は机の前から身動きできない黄金週間を迎えた。 とはいえ実質的に進む量は微々たるものである。なぜなら登美彦氏が執筆するときの合い言葉は「三歩進んで二歩下がる」だからである。登美彦氏がダメになってくると、合い言葉は「三歩進んで三歩下がる」となり、さらにダメになってくると「三歩進んで四歩下がる」となる。その合間、登美彦氏は煙草を吸ったり、髪の毛をぐるぐるかきむしったり、好きなをぱらぱらめくってみたりする。近所の喫茶店へ出かけて、びろーんとのびるチーズトーストをべてみたりする。「ヒューストンヒューストン、こちら登美彦氏」と天井へ語りかけてみたりする。意味は、ないらしい。 昨日頃から登美彦氏はようやく試行錯誤状況から脱したに見えた。 しかし時間がなかった。 体力も才能もなかった。 根気も精力もなかった。 知恵も勇気もなかった。 「毛深い子!毛深い子!君もなかなかしぶといね」 登美彦氏

    登美彦氏、スランプから復活。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2007/04/28
    いま、黄金週間を貯金しておくと、そのうち黄金月ひいては黄金年が当たります。たぶん。
  • 登美彦氏、本屋大賞授賞式へおもむく - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    あんまり机上で妄想ばかりしているのも身体に悪いと主治医から言われたので、登美彦氏は屋大賞の授賞式へ出かけることにした。 登美彦氏の目的は以下の二点である。 一、万城目学氏を「ちょっと手加減して」殴ること 二、美味しいものをべること 東京駅から編集者の小囃子氏と一緒に歩いていくと、明治記念館というたいそう立派な建物がたっていた。 中へずんずん入って受付へ行くと、図書カードがもらえたので、登美彦氏は私腹を肥やした。 授賞式の会場は大勢の人でごった返している。テレビカメラなどもならんでいて、たいへんな大騒ぎである。登美彦氏はその間をすり抜けて、「屋大賞ノミネートの人々」が集まる席へ向かった。 その途中で万城目学氏が立っていたので、ちょっと手加減して殴った。 万城目学氏は「思いのほか痛い」と呻いた。それから「あとでサインを頂戴致したく」と言った。 登美彦氏はそのままお喋りもせずに去る。 登美

    登美彦氏、本屋大賞授賞式へおもむく - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2007/04/07
    “あんまりありがたかったので、さすがの登美彦氏も落涙しかけたという噂だ。”本当は、落涙したんだろうな。背(主に座高)が高いから落ちた大粒の涙の運動エネルギーは相当なものになったのだろう。主治医=彼女。
  • 登美彦氏、めずらしく一人ほろ酔う - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    とくに理由はないけれども森見登美彦氏は一人でぶらりと店に入った。 そしてを読みながら鮹のペペロンチーノをべ、麦酒を飲んだ。 登美彦氏は酒に弱いので、一人で外で麦酒を飲んだりするのは初めてのことである。 麦酒の泡がクリームのように柔らかく、そしてペペロンチーノに混じった鮹もまた不思議な歯ごたえの柔らかさであったので、登美彦氏はひどく上機嫌になった。 「麦酒一杯で夢心地。酒に弱い人間にも五分の魂」と登美彦氏は言った。 そうして金曜の賑わう夜の街を一人酔っぱらって抜けていった。 筆者の入手した情報によれば、森見登美彦氏は四月五日の屋大賞授賞式へこっそり忍び込む予定であるという。 「万城目学氏を見つけだし、『ちょっと手加減して』殴るためである」と登美彦氏は述べている。

    Ooh
    Ooh 2007/03/31
    “ 「万城目学氏を見つけだし、『ちょっと手加減して』殴るためである」”宣戦布告。芽は潰しておかんとナ。つうか劣化コピーという噂だし。
  • 登美彦氏、東京へ行く。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ

    朝のリレー。 編集者の綿撫さんの御母堂が目を覚まして電話をかけると綿撫さんが目を覚まし、綿撫さんが電話をかけると森見登美彦氏が目を覚ました。 「森見さん、今すぐ東京へ来てちょうだい!おにぎりあげますから!」 そう言われたので登美彦氏は東京へ出かけた。 そして言われるがままに祥伝社へ出かけ、言われるがままに珈琲を飲み、言われるがままに綿撫さんの握ってくれたおにぎりを頬張って栄養をつけた。綿撫さんはその界隈で知らぬ者はないというほどのおにぎりづくりの達人であるという。 登美彦氏は『新釈走れメロス他四篇』について、別冊文藝春秋とYahooの取材を受けたのち、「いざ!」とペンを握って会議机に向かい、日中の書店の方々へ差し上げる色紙を60枚書いた。 そうすると夕方になった。 さらに登美彦氏は「いざ!」とペンを握って会議机に向かい、350冊の『新釈走れメロス他四篇』に華麗かつ平凡なサインをした。登美

    登美彦氏、東京へ行く。 - この門をくぐる者は一切の高望みを捨てよ
    Ooh
    Ooh 2007/03/26
    朝のリレー、吹いた。で、達人であるというのは一体どの界隈なのだろう。出版界?