秋である。あんなに暑い日が毎日続き、このままずっと涼しくならないんじゃないか、と思っていたのに秋である。この時期になると毎年思う。地球ちゃんと公転してたんやな。偉いぞ、地球。惰性、いや慣性の法則で回ってるだけとは思えんくらいの仕事ぶりや。 さて、涼しくなったので、閉め切っていた窓を開け、外の空気をいれる。入ってくる冷気が心地よい。静かだ、夏の間あれほど五月蠅く鳴いていたセミはどこかに行ってしまっている。 そうして窓を開けた部屋で、家族が集まって夕食を食べる。夏の間は食事の間に必ず夕方になるとスイッチが入っていたテレビは、もうついていない。静かだ。どこの家庭にでもある当たり前だが、幸せな風景だ。家族がいて本当に良かったな。 娘たちもすっかり大きくなったので、昔のように食事中にみんなでにぎやかに会話を交わすことはない。とはいえ、父親として家族の間に全く会話がないのも良くないだろうと思って、口を