久しぶりにTYPE-MOONの『月姫』を触る機会があって、ふと思い出した。 昔、メイドキャラクターは虐げられた存在だった。『殻の中の小鳥』に出てきたキャラクターなどが典型的だけど、彼女達は調教や折檻の対象であり、“メイドのコスプレ”ではなく本当の意味で服従を強いられていた。メイドキャラクター達は拭いきれない悲壮感・厳格な主従関係といった絶望的距離感を漂わせているのが常で、まただからこそ、そういった障害を克服した時の喜びも大きい、という感じだった。オタク界隈にメイド属性が登場した頃、メイド達はそういう暗さを帯びていた筈だ。『To heart』のあの健気なマルチにしても、メイドロボという設定が与えられていた点は見逃せない。メイド属性は、明らかにハードなカテゴリだった。 ところが最近見かけるメイドの大半には、そういった悲壮さ・暗さが欠けている。 ライトノベルやアニメにおいて、メイド服は頻出という