本質覆う「分断」ひとくくり 果たして、問題は「分断」なのだろうか――。米大統領選をめぐり、選挙期間中はもちろん、開票が進む過程でも、米国社会が抱える問題の象徴として、この「分断」という言葉が聞かれた。当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領の勝利演説でも、「分断ではなく結束を目指す」という形でこの言葉が繰り返された。そのことに違和感を覚えて、東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区)に國分功一郎准教授(46)を訪ねた。 「言葉遣いとして雑だ、ということです。何をイメージしているかが明確でない『分断』という言葉を使うことで、まるでもともと社会が一体性を持っているような幻想が出てきてしまうことが問題だと思います」