ヒルベルト空間Hに対して、双対空間(dual space)と共役空間(conjuagete space)という概念があります。Hの双対空間も共役空間も H* という記号で書かれることが多いので、僕は昨日まで同じものだと思い込んでいました。実際、同義語として扱う流儀もあるのですが、どうも別物と考えたほうがよさそうです。別物だとしても、双対空間と共役空間のあいだに標準的な同型があるので、同一視しても問題はありません。が、区別しないと「同型である」という主張に意味がなくなります。 線形写像と反線形写像 複素数tに対してt-は複素共役だとします。複素数tによるベクトルxのスカラー倍はxtと記します。関数の記述にインフォーマルなラムダ記法とイプシロン記法を使います。 さて一般に、UとWが複素ベクトル空間のとき、足し算を足し算に移す写像 f:U→W が f(xt) = f(x)t であるとき線形と呼び