lようやくCRISPRの研究者がノーベル賞を授与される。 これと日本学術会議とはまるで無関係にようだが私の中ではつながっている。 CRISPR/Cas9を用いるとゲノム編集が効率良くできることがわかって以来、人々はその応用範囲と有用性にすぐに気がついた。 だからこの技術は医学、生物学、農学、畜産学などおよそあらゆる分野で応用が期待され、かつゲノム編集された生物が作出されてきた。しかしこの技術の持つ危険性もすぐに認識された。その応用範囲の中で最も危惧されたのは、ヒトのゲノムの編集、殊に生殖細胞系列のゲノム編集であった。その問題点は二つの点に集約される。一つは技術が未成熟であることによるゲノム編集の不正確性で、いわゆるオフターゲット効果だ。これは標的とする遺伝子ではない遺伝子に予期しない変異が導入される可能性だ。もう一つは、ヒトゲノムを編集して何らかの能力を賦与しようとする試みだ。典型的にはデ