ワールドカップは無事日本が敗退し、世間一般の気分はサッカーから夏の行楽に変わって来つつあり、ようやくじめじめとした梅雨というこの島国特有の憂鬱な季節から抜け出そうという頃、俺の目の前の年中ノーテンキバカ女はこんな宣言をしていた。 「ギャルゲーを作りましょう! いや、なんならエロゲーでもいいわ!」 こいつの言動に脈絡があった試しはないが、今回のはとくに奇抜だ。ギャルゲー。国木田あたりがたまに口にすることはあるので多少知ってはいるが、俺の知りうる限り一般的な女子高生が口にする言葉ではない。しかもエロゲーだ。不純異性交遊は校則で禁止されており、ナントカという団体が自主的に青少年への販売を自粛している、主にパソコンで動作するわいせつなゲーム。そんなもんを作るのか。というか誰が作るんだ。 「みくるちゃんを見てて、萌えって何かなあって考えてたのよ。で、ちょっと研究のためにゲームを遊んでみてね、」 その