記憶の固定や維持にストレスが悪影響を及ぼすことを生体の外で初めて再現したと、大阪大の小倉明彦教授らの研究グループが8日発表した。細胞を使った実験で再現できたことで、ストレスの影響を細胞レベルで直接検討できるようになり、記憶障害などの予防法や治療法の開発につながると期待される。論文は英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。 これまでも人や動物を使った実験でストレスにより記憶の固定が阻害されることは報告されていた。だが、ストレスが直接影響しているのか、ストレスを回避するための生体の防御反応なのかは明らかになっていなかった。 研究グループは、マウスの大脳皮質の一部で記憶に関係する「海馬」の切片を培養し、ストレスホルモン「グルココルチコイド」を投与。観察した結果、脳神経細胞間で情報を伝達するシナプスの形成が阻害され、記憶の固定や維持ができない状態が確認できた。ストレスホルモンが直接