「焼肉酒家えびす」の食中毒事件を契機に見直しが決まった強制力のない生食肉の現行基準について、2000年以降、食品衛生法に基づく罰則付きの基準への格上げが検討されるはずだったにもかかわらず、その後11年間、放置されていたことが厚生労働省への取材で分かった。 同省によると、現行基準は1996年に腸管出血性大腸菌O157による食中毒が相次ぎ、98年9月に設けられた。当時、食肉処理場の衛生管理体制にばらつきがあったことから、体制が整う2000年以降に罰則付き基準への格上げを検討することとなったが、実際には具体的な検討は行われなかった。 厚労省基準審査課は「生食肉の危険性はこれまでも啓発してきた。大きな事故が起きていなかったこともあり、政策的な優先順位が低かった」としている。