自分と同世代かその少し上のレコード(音楽ではない)好きと話をするとき、必ず盛り上がる「あるある」がいくつか存在する。ひとつはレコード屋で怒られた話、もうひとつは所有するレコードの1枚1枚をどこで買ったか覚えている、という話だ。高校生の頃、夜行バスの切符を握りしめ、レコード屋巡りを主な目的として上京したことがある。早朝にバスを降り、昼頃の開店時間まで暇をつぶしてようやく訪れた下北沢の某中古レコード店(*1)で浮き足立ち、はやる気持ちを抑えきれずに端からレコードをチェックし始めるや否や、髭の店主に厳しい口調で、 「レコード落とさんといてくれるか(記憶の中では関西弁)!」(*2) と大きな声で釘を刺されたのをよく覚えている。初めて訪れた東京の店、地方の店とは明らかに違う充実した品揃えに、キャッシャーにはヒッピーみたいな、これまで見たこともないようなルックスのオッサン。チビリそうな緊張が走った