ブックマーク / honz.jp (190)

  • 『ヴィクトリア朝時代のインターネット』 新刊ちょい読み - HONZ

    たかが数十年と言われるインターネットの歴史であるが、先祖を遡れば19世紀まで行き着くという。いわゆるモールス符号などでおなじみの通信手段「電信(テレグラフ)」のことだ。書はヴィクトリア朝時代のインターネットとも言われる「電信」の歴史を、ダイナミズムたっぷりに描いた一冊。 歴史は繰り返すとはよく言ったものだが、その模様が生き生きとしたエピソードとともに伝えられている。犯罪や軍事利用がサービスの普及に貢献したのは想像に難くないし、ソー活、ソーシャル婚、ハッカーなどの原型も1800年代のイギリスに見ることができるのだ。 このように歴史を辿っていくと、当然のようにその興味は衰退のメカニズムの方へと向かう。電信はやがて「話す電報」としての電話に取って変わられることとなる。ここで興味深いのは、電信によって世界が革命的に小さくなったことが、電話の躍進にも一役買っているということである。ネットワークサー

    『ヴィクトリア朝時代のインターネット』 新刊ちょい読み - HONZ
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/12/28
    ネットワークサービスの宿命は、自分が滅ぶための下地を己の手で作っているということにある。
  • メディアは、これから 『英国メディア史』 - HONZ

    大英図書館が「British Newspaper Archive」というサービスを開始した。このサービス何がすごいかというと、アーカイブしている情報量とその古さだ。なんと、1800年以降にイギリスで発行された新聞のほとんど全てをカバーしており、そのデータに自宅のPCから容易にアクセスできる(1700年代のデータもあるようだ)。1800年といえば日は寛政12年、11代将軍徳川家斉の治世であり、伊能忠敬が蝦夷をせっせと測量していた時代である。世界に目をやれば、人口はまだ10億に満たず、欧州ではナポレオンが台頭していたと言えば、よりその時間の長さを感じられるだろうか。 ひとたび検索窓にキーワードを入れてみれば、その検索対象となっている新聞の多さに改めて目を見張る。何しろ、今後10年間で4000万ページのデジタル化を完了する予定である。記事の閲覧には年間約1万円が必要となるが、検索結果は無料で見

    メディアは、これから 『英国メディア史』 - HONZ
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/12/23
    500年に渡るメディアと歴史の交錯を鳥瞰することで、未来の変化へ向けた疑問と、それを読み解くヒントが浮かんでくる。
  • 『ヤクザと原発 福島第一潜入記』 新刊ちょい読み - HONZ

    きっとすぐに誰かがきちんとしたレビューを書くと思うが、その前に露払いを勤めさせてもらう。著者の鈴木智彦はヤクザ専門のライターで、こんなやこんな、そしてHONZ代表・成毛眞絶賛のこんなも書いている。 そんなヤクザの専門家がなぜ福島第一原発へ潜入しなければならなかったのか。やはりそこにもヤクザの存在が絡んでいた。 暴排条例は地方公共団体が行う条例で、各県で温度差がある。西高東低で、関西や九州での締め付けはきついが、東北ではまだまだ共存している。 そこに今回の原発事故である。究極のヨゴレ仕事は、いいシノギになるのか…それを自分の目でみようと、体調を整え保険に入り、身辺整理をして、勇躍単身乗り込む。彼が見たものは何だったか。 後は明日のお楽しみ♪

    『ヤクザと原発 福島第一潜入記』 新刊ちょい読み - HONZ
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/12/21
    究極のヨゴレ仕事は、いいシノギになるのか…
  • 勝新太郎の現実歪曲フィールド -『偶然完全 勝新太郎伝』 - HONZ

    久々にジャケ買いした一冊。勝新太郎と言われても、子供のころに記者会見で見たキテレツなイメージしか残っていなかったのだが、表紙の写真に「おいっ」と呼び止められた気がして思わず購入した。読み進めて素顔を知るにつれ、そのイメージは驚きへと変わっていく。 著者は、勝新太郎の最後の「弟子」と称される人物。かつて、勝新太郎が週刊誌で人生相談をしていた時の編集者だ。勝新太郎とは親子以上もの年齢差がある著者の筆を動かしているのは、その生き様を何とか後世に語り継がねばという使命感だろう。 いわゆる癖のあるカリスマが、現実と虚構の境目が分からなくなるくらいの熱意で周囲を圧倒し、常識を覆すものを作っていく。そんな評伝を最近読んだなと思い返したら、『スティーブ・ジョブズ』だ。己の動物的な勘を頼りに生き抜いていくという点で、二人は酷似している。スティーブ・ジョブズはどこまでも役者だし、勝新太郎はどこまでもアントレプ

    勝新太郎の現実歪曲フィールド -『偶然完全 勝新太郎伝』 - HONZ
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/12/13
    偶然だから、完全な関係が生まれる。
  • ウォールを超えた思想『アイ・ウェイウェイは語る』 - HONZ

    アイ・ウェイウェイの名前はそこまで日では浸透していないだろう。艾未未、日語読み(がい びび)中国読みで(アイ・ウェイウェイ)という彼は現代美術家・キュレーター・建築家・詩人・都市計画家であり、父であるアイ・チンは1930年代のパリでアートを学んだ詩人である。父アイ・チンはランボーやボードレールといった詩人の影響を受け、中国に帰国した後は最高の現代詩人と称されるようになったが、モダニストとして共産党からの矛先が向くことになる。文化大革命の時代、アイ・チンは反革命主義、反人民の烙印を押され、人口200人の僻地に送られ公衆便所の掃除夫となる。 中国のインターネットは今でも巨大なファイアウォールが存在しており、外からも中からも日のような普通のアクセスができない。ウェブ上にも万里の長城(グレートウォール)が存在し、それが国土を定義しているように、ネット上でも他の国から中国を防衛している。ファイ

    ウォールを超えた思想『アイ・ウェイウェイは語る』 - HONZ
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/12/11
    困難とは本来、その人が乗り越えられるレベルがくるのかもしれない。
  • 『河北新報のいちばん長い日』-号外の向こう側 - HONZ

    「よく壊れないでいてくれた。津波と火事に耐え、みんなの命を守ってくれた」 気仙沼に急行した丹野さんは、泥が流れ込んだ総局ビルの前で涙した。 「何やってんだ、俺。最低…」 ヘリからシャッターを切ることしかできない門田さんは、自分を呪った。 「奥さん落ち着いて。とにかく落ち着いて。」 販売部長の荒さんは、自分も取り乱しそうになるのを抑えて呼びかけた。 「ならこのまま吹きこめ」「えっ?」「いいから見たまま話せ」 南三陸町役場にいた渡辺さんは、携帯電話越しに記事を伝えた。 あの日、私は、パソコンでNHKのインターネット放送をずっと見ていた。 その小さい窓の、向こう側で起きていたこと。 自らも被災者となった河北新報の社員が、サーバー倒壊の危機を乗り越え一日も途切れず新聞を送り届けた記録だ。三週間、会社に連泊した人がいた。不眠不休で炊き出しをした人がいた。家を流された人がいた。片道2時間歩いて出社する

    『河北新報のいちばん長い日』-号外の向こう側 - HONZ
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/11/22
    再生へ 心一つに――もうすぐ、2度目の雪の季節が来る。
  • 『オーバーフローする脳 ワーキングメモリの限界への挑戦』 - HONZ

    いわゆる多読というものを初めてから、それほど年月を重ねていないのだが、多読以前と以後で全く変わらないものがある。それは全体に占める、未読の割合だ。年間50冊程度しかを買っていなかった時も、年間500冊近く買うようになった今も、およそ30%がの山に積んだまま、もしくはパラパラとめくっただけなのである。 未読が発生するメカニズムについても、自分なりに、かなり解明が出来ている。仮に10冊を買ったとして、7冊程度読み終わったところで次の10冊を購入。新しいものに目移りして最後の3冊は未読のまま。追加の10冊においても同様に7冊程度読み終わったら、さらに次の10冊を購入。最後の3冊は未読のまま。年間の総数に増減があっても、このサイクルの回転数が変動しているにすぎない。 歯磨き粉も石鹸もシャンプーも完全に無くなって初めて、次のものをチンタラと買いにいくのに、なぜかだけは絶対に読み切れない量を

    『オーバーフローする脳 ワーキングメモリの限界への挑戦』 - HONZ
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/11/12
    われわれが今日もって生まれる脳は、クロマニヨン人が4万年前に生まれたときと、さして変わりがない。
  • 『日本のデザイン』 - HONZ

    仕事を終えて帰宅した際、部屋の隅々までキレイに掃除が行き届いていると、当に心地が良くなる。床が磨かれていたり、ゴミが処分されていたり、シミが完全に落ちてないまでも除去しようとした努力の形跡があれば更に最高だ。こういった仕事ができる人間は、終わりと決めた時間になってもすぐ掃除用具を片付けず、キリがいい所までやり遂げるに違いない。 著者によると、ありふれた日常空間を整える美意識は、外国人よりも日人に如実に表れる価値観だそうだ。書はどんな企業であれ、とにかく製品プランナーに購入して貰いたい。これからものづくり日は、生き残れるかどうかの時代に突入する。そのために必要な資源である「美意識」がいかに重要かを、ニュアンスでなく正当なる理論でもって教えてくれる。 いうまでもなく現在、日は転換期にある。戦後60数年日は工業生産に邁進してきたが、アジア経済の活性化により工業国としての経済モデルは終

    『日本のデザイン』 - HONZ
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/11/07
    大手企業はグローバル化を推進しているようだが、ものづくり精神面に関しては、日本基準でよいだろうとつくづく思う。
  • 『僕はずっと裸だった』舞踏の真髄 - HONZ

    タイトルからして何やら怪しい内容だが、あなた様が想像しているものとはきっと違います。 田中 泯はダンサーであり、舞踏(ぶとう)の人物だ。舞踏は日で発祥し、半裸で踊るスタイルである。疾走する身体というよりむしろ動かなかったりする。しかし死を匂わせる静止した動作かと思いきや、いきなり生に執着する表情をとり、口を全開させた呼吸音が胸に響く。その支離滅裂な行為にどんどん引き寄せられ、観ているうちに常識という感覚が麻痺してくる。 近年、舞踏は世界に誇れる「ブトー」になった。世界共通用語であるブトーは、ヨーロッパはおろかアジア、アフリカにまで浸透している。なんといってもその醍醐味は人間は身体だけで表現する幅の広さにある。身体で表現するパフォーマンスでは、一つの究極形であり、観るべき価値がある。 書が抜きん出て面白いのは、なにしろ、田中の言葉の重みが違う。その昔、舞踏集団といえば当に卵を投げつけら

    『僕はずっと裸だった』舞踏の真髄 - HONZ
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/10/19
    近年、舞踏は世界に誇れる「ブトー」になった。
  • 『ダムマニア』 - HONZ

    キュレーションという言葉を初めて耳にしたのは、一年ほど前のことだったと思う。そのころは抽象的なイメージでしか捉えられなかったこの概念も、今ではすっかり根付いたように思う。最近思うのは、優れたキュレーターであり続けるためには、他の優れたキュレーターをどれほど把握しているかが鍵になってくるのではないかということだ。時代は今、キュレーターそのものをキュレーションする、メタ・キュレーションの段階へ突入しているのかもしれない。 そんなキュレーションの高みを目指す人に取って、書の著者の名前は憶えておいて損はない。日ダム協会認定のダムマイスター、宮島 咲氏。ダムマニアとして、日各地のダムを魅惑の土木ワンダーランドとして伝えている方だ。 書の大半は、ダムのグラビアで占められている。その一基一基の写真にキャッチコピーがついており、そこはかとなく情感に訴えてくる。一口にダムと言っても、その目的や歴史

    『ダムマニア』 - HONZ
    SasakiTakahiro
    SasakiTakahiro 2011/09/23
    自宅のトイレがダムのように思えてきたら、いよいよダムマニアの仲間入りだ!