クランボルツ教授自身の経験を例に、ハプンスタンス・アプローチが紹介された。大学の心理学部教授というキャリアを歩むことになったのは、いくつものハプンスタンス(予期しない、偶然の出来事)の結果だという。すべての始まりは子供のころ、偶然テニスに出会ったことだ。テニスを続け、大学ではテニス部に入った。するとテニス部のコーチはたまたま心理学の教授だった。専攻選択にあたって、コーチのアドバイスを求めたところ、心理学を勧められ、専攻することになった。偶然の出会いとそれに続く決断によって、今あるところに導かれてきたのだ。 クランボルツ教授の場合がそうであったように、「予期せぬ出来事が人生やキャリアに果たす役割は大きい。ならば、積極的かつ肯定的にそうした出来事をとらえよう」と考えるのがハプンスタンス・アプローチの考え方だ。また、「予期せぬ出来事というのも、実際は、何らかの行動によってもたらされるのであり、