―企業はなぜ設備投資に慎重なのか?― 2016年4月15日 調査統計局 加藤直也、川本卓司 全文 [PDF 393KB] 要旨 本稿では、企業が、過去最高水準にある収益との対比でみて、慎重な設備投資行動を続けている背景について考察する。具体的には、まず、今回の景気回復局面における企業収益の拡大には、売上数量(数量要因)の増加よりも、交易条件(価格要因)の改善が大きく寄与している事実を確認する。そのうえで、簡単な時系列分析の手法を用いて、(1)数量要因による利益率の上昇は、比較的早いタイミングで、設備投資に対し統計的に有意なプラスの効果を及ぼす一方、(2)価格要因による利益率の上昇は、当面設備投資に有意な影響を与えず、かつ有意であってもその効果が現れるまでに相応の長いラグを伴うことを示す。これは、数量面の改善は、設備稼働率の改善を通じて、実質期待成長率の上昇(生産能力の拡大意欲)につながりや