「よい」公共投資っていうけど、それをだれが見分けるんだろう。 山形浩生 小野・吉川編『経済政策の正しい見方』(東洋経済)という本を読んで、ぼくはかなりがっかりしている。小野善康、吉川弘、岡崎、大瀧など、若手の一線級の学者(一人年寄りがまじってる)による本だけれど、かれらにしてこの程度か。 本書の結論は、景気回復のためには「よい」公共投資をしろ、ということになる。新しく需要をつくる新産業創出への投資をしなさい。そうしたら日本経済は回復します。そしてそのためなら、赤字国債をどんどん出して、構想力を持ってビジョンある公共投資をばんばんしてかまいません。なに、公共投資も赤字国債も、お金は国内でまわるだけだから、ノープロブレム! 本書の議論は、ほぼそれだけ。さらにこれを補うために、まず財政再建を重視すると悪影響が出るという論文と、情報投資は有効性が高いよ、という話とあまりリストラするのは考えものだよ