評論 第189回 2006年7月15日 北朝鮮に挑発されているのは誰なのか 2006年7月6日、北朝鮮は6発の短距離ミサイルと1発の長距離ミサイルを発射した(長距離ミサイルの発射は失敗だった)。世界各地で「これは『挑発』だ」という激しい批判の声があがった。発射以降今日にいたるまで、北朝鮮は異常な静穏さを示している一方、北朝鮮以外の各国はどたばたと言葉の応酬に追われている。 まずアメリカだ。ニューヨーク・タイムズ紙は、アメリカの反応を、「ブッシュの転換──忍耐を持って敵に対処」と表現している。チェイニー副大統領は、北朝鮮の脅威を煽る雰囲気をしずめようとして、北朝鮮の技術力は「未熟」だと述べた。またブッシュ大統領は、アメリカは外交でやっていくと述べた。「これは外交の問題なんだよ。事態の打開には時間がかかる」とのことである。 その外交なるものは、主としてクリストファ