米OpenAIの研究チームは、人間がプレイするMinecraft(マインクラフト)の映像から複雑な動作を学習するモデルを開発した。学習したモデルは、熟練した人でも20分以上かかるダイヤモンドツールの作成を10分程度で成し遂げ、その有効性を示した。

Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 米プリンストン大学の研究チームが発表した「Password policies of most top websites fail to follow best practices」は、Webサイトで新しくパスワードを設定する際にユーザーが保護される仕様になっているかを調査し考察した論文だ。世界で最も人気のある英語圏のWebサイト120のパスワードポリシーを調査した。 結果は、120サイト中13%しかベストプラクティスではなかった。具体的には、75%のWebサイトが「abc123456」や「P@$$w0rd」のような最も推測されやすいパスワードの選択を許可しはじかなかった。 また45%が数字
「ほぼ実世界。リアルすぎるバーチャル空間を構築」多視点の写真から精密な3Dシーンを作成【研究紹介】 2022年6月27日 山下 裕毅 先端テクノロジーの研究を論文ベースで記事にするWebメディア「Seamless/シームレス」(https://shiropen.com/)を運営。 Friedrich-Alexander Universität Erlangen-Nürnbergの研究チームが開発した「ADOP: Approximate Differentiable One-Pixel Point Rendering」は、異なる視点から撮影された複数の画像から高精度なバーチャル3Dシーンを作成する、点群(Point Cloud)ベースの微分可能な深層学習レンダリングパイプラインだ。アーチファクトを抑えた精密な3Dシーンが出力される。 ▲(左)本手法で生成した3Dシーン(右)実世界のシーン リ
Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 シンガポールのSingapore University of Technology & Design(SUTD)、スイスのEPFLとETH Zurich、オーストリアのInstitute of Science and Technology Austria(ISTA)による研究チームが開発した「Computational Design of High-level Interlocking Puzzles」は、高度な3Dパズルを設計するためのボクセルベースの計算フレームワークだ。ユーザーはパズルの形状やピース数、難易度などを指定でき、独自の3Dパズルを設計できる。 組み立てるとバラバラにならな
米パデュー大学、韓国の金烏工科大学校、韓国のNational Institute of Agricultural Sciencesの研究チームが開発した「Edible Matrix Code with Photogenic Silk Proteins」は、ウイスキーが偽物かどうかを明らかにするQRコード付きの食用タグだ。 ウイスキーの中に入れて使用し、タグをスマートフォンで読み取るだけで、その飲み物が本物かどうか確認できる。また医薬品にも貼り付けることができ、偽造防止や摂取/投与時認証のためにも使用できる。 アルコールの蒸留酒は偽造が容易で、ウイスキーの偽物が出回っている。医薬品の偽造も存在し、場合によっては人の命を奪った例もあるくらい社会問題化している。今回はこのようなウイスキーや医薬品の偽造を防止するための解決策として、アルコールの中に入れられ、食べられるタグを開発した。 このタグは、
過食を抑えるためのアプローチの1つとして、色彩の変化による食欲減衰がある。特に青系統はより食欲を減衰させる色として知られている。一方でおいしく食べる体験が損なわれる。 今回は料理をおいしく食べながらも食欲が減衰する効果が得られないかを検証する。研究ではシースルー型HMD(HoloLens)を使用し、食べている料理に青色フィルターを重ねる方法で食体験の満足度を調査する。また青色フィルターの濃さを食事が進むにつれ濃くする条件も取り入れた。 実験は、おにぎり(具は鮭、海苔なし)を手でつかみ1個食べる体験を行う。参加者6人を対象に以下の条件3つで実施した。 (1)青色フィルター不透過率0%から始まり、一口食べる毎に不透過率33%増加し3回目で99%まで段階的に濃くする。(2)最初から青色フィルターを不透過率100%で提示する。(3)HMDは装着するが青色フィルターを一切かけない。 アンケートによる
山下 裕毅 先端テクノロジーの研究を論文ベースで記事にするWebメディア「Seamless/シームレス」(https://shiropen.com/)を運営。 米Cornell Universityと米Adobe Researchの研究チームが開発した「ARF: Artistic Radiance Fields」は、撮影した写真を立体的なアート作品に変えられる、機械学習を用いたスタイル変換技術だ。立体にしたい画像と模様にしたいスタイル画像を組み合わせて、どの方向からでも自然に見える3Dオブジェクトを生成する。色調など細部までスタイルを忠実に模倣した、自由視点の3Dシーンに仕上げる。 ▲(左)写真から3Dオブジェクトを生成。(右)その3Dオブジェクトにスタイル画像を適応する keyboard_arrow_down 研究背景 keyboard_arrow_down 研究過程 keyboard_
韓国のKAIST、米MIT、ドイツのUniversity of Stuttgartによる研究チームが開発した「A biomimetic elastomeric robot skin using electrical impedance and acoustic tomography for tactile sensing」は、人間の皮膚をまねた柔らかく敏感な人工皮膚だ。人工皮膚を押すと変形し押した力や向きを感知するため「なでる」「くすぐる」「たたく」などのインタラクションを理解する。感度が良く、風が当たった触覚も感知する 人間の皮膚は、約2平方メートルの面積を持つ最大の感覚器官であり、さまざまな触覚刺激を感じ外部の影響から体全体を守っている。研究チームはこの特徴を再現したロボットの皮膚があれば、人間と同じように環境とインタラクションできると考えた。 高感度のセンサーが指先に搭載したこれまで
山下 裕毅 先端テクノロジーの研究を論文ベースで記事にするWebメディア「Seamless/シームレス」(https://shiropen.com/)を運営。 米Northeastern University、米College of William & Mary、スイスのETH Zurichによる研究チームが開発した「Real-Time Portrait Stylization on the Edge」は、機械学習を用いて、スマートフォンのカメラで自撮り撮影中の動く顔を追跡し、その場で似顔絵のようなアニメ風にスタイルをリアルタイム変換できる技術だ。これまで困難であった、モバイル上での高品質なスタイル変換を実現する。 顔だけでなく、カメラ内に映る手やヘッドフォン、メガネなどもすべてリアルタイムにスタイル変換され表示される。 ▲スマートフォンのカメラで実在の人物(左)と画面上の顔写真(右)を撮
米University of California, San Diegoの研究チームが発表した「Evaluating Physical-Layer BLE Location Tracking Attacks on Mobile Devices」は、Bluetoothの脆弱性を突いて、スマートフォンを識別し追跡できることを実証した論文だ。スマートフォンから常時発信されているBluetooth信号には、個人の動きを追跡するために使用できる固有のフィンガープリントがあるのだという。 スマートフォン、スマートウォッチ、フィットネストラッカーなどのモバイル機器は、Bluetoothビーコンと呼ばれる信号を1分間に約500個の割合で常に発信している。これらのビーコンは、Apple社の紛失機器追跡サービス「Find My」やCOVID-19追跡アプリなどの機能を実現し、スマートフォンを無線イヤフォンなど
米Dolby LaboratoriesとスペインのUniversitat Pompeu Fabraの研究チームが開発した「Universal Speech Enhancement With Score-based Diffusion」は、収録した映像のバックグラウンドノイズ(背景雑音)を強力に除去する技術だ。動画撮影した雑音を消し去り、話す声だけをくっきり残すことができる。強力すぎるため、映像がアフレコを挿入したみたいな仕上がりになってしまう。 実世界で録音した音声には必然的に背景の雑音や残響が含まれ、不快感や明瞭度の妨げになるためノイズ除去が行われる。最近では深層学習の登場によりノイズ除去技術の精度が向上した。 だが音声強調の観点ではノイズ除去だけが全てではなく、クリッピング、コーデックのアーチファクト、リバーブ、スペクトル操作、過度の圧縮、最適でないイコライゼーション、帯域制限、ラウド
Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 中国の浙江大学と米Googleの研究チームが開発した「Neural Rendering in a Room: Amodal 3D Understanding and Free-Viewpoint Rendering for the Closed Scene Composed of Pre-Captured Objects」は、1枚のパノラマ写真から部屋内の全体の3次元シーンを正確に再現するシステムだ。 ニューラルレンダリング(ボリュームレンダリング)に基づく最適化により、シーンの3次元配置と照明状態を高精度に推定し、ルームスケールの自由視点レンダリングを実現。家具の移動や照明条件が変わって
米ペンシルベニア大学、米MIT、ポーランドのXIV Staszic High School、米国の研究機関Aarno Labs、米Stevens Institute of Technologyによる研究チームが開発した「Practically Correct, Just-in-Time Shell Script Parallelization」は、UNIXシェルで実行されるプログラムの速度を精度を保証しながら劇的に加速させるシステムだ。 このシステムはUNIXシェルにおいて、スクリプトを先読みして並列化を行う。これによりプログラム結果を正確な上で最大34倍高速化し、Webインデックスや自然言語処理、データ解析などのタスクを実行することが可能になる。 「PaSh」と呼ぶこの新しいシステムは、現在でも広く使われているプログラミング環境であるUNIXシェルで実行されるプログラムを高速化するものだ
物理キーボード不要 机の上で「指だけタイピング」を実現する手首型デバイス「TapType」【研究紹介】 2022年6月13日 山下 裕毅 先端テクノロジーの研究を論文ベースで記事にするWebメディア「Seamless/シームレス」(https://shiropen.com/)を運営。 スイスのETH Zurichの研究チームが開発した「TapType: Ten-finger text entry on everyday surfaces via Bayesian inference」は、フルサイズの物理キーボードで文字を入力するのと同じように、机上などの硬い表面で物理キーボードなしにタイピングが行える手首型ウェアラブルデバイスだ。外出先の机上にスマートフォンを置き、その周囲の机上で従来のQWERTYキーボードレイアウトでタイピングが行える。 ▲(a)スマートフォンへのテキスト入力、(b)タ
Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 英Aston Universityの研究チームが開発した「Fully-Autonomous, Vision-based Traffic Signal Control: from Simulation to Reality」は、交差点にあるライブカメラの映像で交通状況を監視し、深層学習モデルで適切な信号操作をリアルタイムに行う、ビジョンベースの完全自律型信号制御システムだ。 悪天候や昼夜問わず正確な認識を行い、また公共交通機関や緊急車両などを検出し優先アクセスを提供できることを示した。2022年から実際の道路でシステムをテストしたいという。 現在の信号制御システムは、固定時間枠で動作するもの
Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 米MetaのReality Labsの研究チームが開発した「Authentic Volumetric Avatars from a Phone Scan」は、スマートフォンで自撮りした短時間のスキャン画像から、本物そっくりの3D頭部アバターを生成するシステムだ。異なる視点やフォトリアリスティックな表情を表現し、高い忠実度で再現する。 現在、実在する人物のアバターを作成するためには膨大な人物データを取得する必要があり、そのデータを収集するには大規模なマルチビューキャプチャーシステムを必要とする。そのため軽量なデータキャプチャー、低遅延、許容できる品質でのアバター作成プロセスを自動化することが
米カリフォルニア大学アーバイン校と米カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームが発表した「Too Afraid to Drive: Systematic Discovery of Semantic DoS Vulnerability in Autonomous Driving Planning under Physical-World Attacks」は、自動運転車において、道路脇に置かれた物に反応し停止してしまうかを検証した論文だ。 道路脇に物体(段ボール箱、ごみ箱、自転車、カラーコーンなど)を置くことで、自動運転車が急停止などの望ましくない行動をとる可能性を研究チームは指摘。この脆弱性は自律走行システムの過度な安全が裏目に出たもので、高速道路の出口で急停車するなど、乗車している人に危険を及ぼす可能性がある。 現在、さまざまな企業がハイレベルの自動運転車を開発している。その中には、Go
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