【台北=龍元秀明】台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は30日、日本電産前社長の関潤氏(61)をEV(電気自動車)事業の最高戦略責任者(CSO)に招くと発表した。人事は2月1日付。鴻海は今後の収益の柱としてEV事業に期待を寄せており、関氏を招いて体制強化を加速する狙いとみられる。劉揚偉董事長(会長)の下でEV戦略の策定などに携わるという。鴻海は同日発表した声明で「関氏は多くの国で自動車生産・製造オペ
永守重信[ながもり・しげのぶ] 氏 1944年生まれ。67年職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)電気科卒。73年に日本電産を創業。社長に就任し、世界一のモーターメーカーに育てた。2014年から会長を兼務。18年6月に会長CEO(最高経営責任者)、21年6月に会長専任となったが、22年4月にCEOへ復帰した。 2023年3月期は上期(22年4~9月期)の連結売上高が過去最高を更新するなど、業績は好調です。ご自身ではどのように評価されていますか。 まあ、私としては不満な結果ですね。本来はもっとよかったはずだと思っていますから。企業というのは、やっぱり業績なんですよ。全ては結果ですから。僕は(1973年に創業して以来)長く(社長、会長、CEO=最高経営責任者=を)やってきて、業績を伸ばしてきました。 2008年秋のリーマン・ショックの時も、赤字になる会社が多い中で黒字を保ちました。赤字な
日本電産 永守帝国の自壊 9月に社長を解任して以降、日本電産の永守重信会長は「創業時の文化を取り戻す」ことに執念を燃やしている。後継者不在や株価低調など、昨今の経営混乱の“元凶”は他社から招聘した外部人材にあると断じ、いま一度、知的ハードワーキングに代表される永守流経営への原点回帰を図ろうとしているのだ。しかし、今や日本電産は売上高2兆円規模の大企業。創業経営からグローバル企業への脱却は焦眉の急だ。そんな折に、社長解任事件で永守会長の求心力の衰えが白日の下に晒されることとなり、人材流出に歯止めがかからない。来年50周年を迎える永守帝国では、静かに組織の内部崩壊が始まっている。 バックナンバー一覧 昨年、日本電産がある重大な訴訟で「完敗」していたことがダイヤモンド編集部の調べで分かった。同社のハードディスクドライブ(HDD)用モータの最大顧客である米シーゲート・テクノロジーを相手取り、訴訟に
日本電産 永守帝国の自壊 9月に社長を解任して以降、日本電産の永守重信会長は「創業時の文化を取り戻す」ことに執念を燃やしている。後継者不在や株価低調など、昨今の経営混乱の“元凶”は他社から招聘した外部人材にあると断じ、いま一度、知的ハードワーキングに代表される永守流経営への原点回帰を図ろうとしているのだ。しかし、今や日本電産は売上高2兆円規模の大企業。創業経営からグローバル企業への脱却は焦眉の急だ。そんな折に、社長解任事件で永守会長の求心力の衰えが白日の下に晒されることとなり、人材流出に歯止めがかからない。来年50周年を迎える永守帝国では、静かに組織の内部崩壊が始まっている。 バックナンバー一覧 「一番以外は全部ビリ」「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」――。日本電産社内では永守重信会長の言葉は“憲法”だ。希代のカリスマ経営者の経営哲学や教えが社員のよりどころとなってきたことは間違いない
「株価至上主義が、すべてをおかしくしている」 9月初旬に日本電産社長を辞任した関潤氏は、在職中、周囲にそう語っていたという。 日本電産創業者の永守重信氏(現会長)が自社の株価を非常に気にする経営者であることは、自他共に認めているところだ。株式投資は16歳で始めたといい、著書『永守流 経営とお金の原則』には、〈私ほど自社の株価や時価総額について語る企業経営者はいないかもしれない。つねに自社の株価の動きに目配りし、1日に10回くらいはチェックする〉と記している。 幹部会議や役員宛のメールでは、「株価は社長の通信簿」「時価総額ランキングこそが企業価値を決める最も重要な指標」と繰り返し、時価総額ランキングで昨年は国内8位まで上がったのに今年は25位に転落したと落胆してみせた。同じ京都の村田製作所など永守氏がライバルと見なす企業の株価と自社の株を比較して一喜一憂する。それがカリスマ経営者・永守氏の実
封印されていたパンドラの箱がついに開いてしまった。 モーター世界最大手の日本電産のことである。9月2日に関潤社長の退任を決定して以来、メディアからの猛批判を受け続けている。 創業者である永守重信氏(現会長)はすでに78歳。その後継者をめぐって日本電産は迷走を繰り返してきた。カルソニックカンセイ(現マレリ)元社長の呉文精氏、シャープ元社長の片山幹雄氏、関氏と同じく日産出身の吉本浩之氏と、いずれも後継者含みでヘッドハンティングしたものの、「期待どおりでない」と判断するや永守氏は一流経営者たちを次々に辞任へと追い込んだ。 日産のナンバー3(副COO)だった関潤氏を三顧の礼で日本電産に迎え、最高経営責任者(CEO)に据えたのは2021年6月のことだ。しかし、1年も経たない2022年4月には業績悪化を理由に最高執行責任者(COO)に降格。そして9月には会社から事実上、放逐した。 業績悪化とはいうもの
公表されていない情報として匿名を条件に複数の関係者が明らかにしたところによると、10月以降は生え抜きの昇格を含め、内部で実績を上げてきた社員中心の経営体制にしていくという。 関氏には既に社内の重要な情報が共有されておらず、9月末までに退社する方向。後任には1973年の創業以来、永守氏を支えてきた古参幹部である小部博志副会長(73)が昇格する可能性もあるという。新体制は9月初めごろにも発表する見通し。 関係者によると、永守氏は今後、世界的な景気後退が起こる可能性もあり、不況に真正面から闘う気概と執念を持っている「同志」が必要と考えているという。徹底したコスト削減や在庫管理のほか新製品の創出や生産性向上などに取り組んで難局突破を目指す。 永守氏は23日、ブルームバーグの取材に対して10月に生え抜き中心の新経営体制を発足させる方針について確認した。一方、関氏の去就についてはノーコメントとした。関
7月20日の決算発表では、過去最高益をマークしたと発表した日本電産。しかし、同社のカリスマ創業者・永守重信氏(77歳)はこのところ、社内の状況に強い怒りを抱いているという。 「『ゆでガエル』集団」「計画達成のためには部門長は社員の先頭になって休日返上で、率先垂範で当たること。休むなどもってのほか」……永守会長が幹部に送ったという「檄文メール」には、そんな目を疑うような文言が並んでいた。さらに、永守氏が自ら日産から引き抜いた社長・関潤氏との対立も激化している。前編記事「『休むなどもってのほか』衝撃メールにア然…日本電産・永守会長の『復活』で社内は大混乱」にひきつづき、日本電産の内情をジャーナリスト・井上久男氏がすっぱ抜く。 永守会長への関社長の「反論」 永守氏が関氏を批判したのは、短期的な収益と株価を第一に考える永守氏と、「売上高10兆円」の目標達成だけでなく、全ての判断を永守氏に依存する組
カリスマ経営者として知られる日本電産会長・永守重信氏。その経営哲学に「一番以外はみんなビリ」というものがある。 自らに高いハードルを課し続け、成功を築いた名経営者を象徴する言葉だが、社員も株主もだんだん「ついていけない」と感じ始めたようだ。 「嫌なら株を売れ」 6月17日、京都市内のホテルで開催されたモーター大手、日本電産の株主総会。創業者の永守重信会長(77)が、三顧の礼で日産自動車の副COO(最高執行責任者)から後継者として迎えた関潤社長(61)を4月21日付でCEO(最高経営責任者)からCOOに降格させ、自らCEOに復帰したことに株主の関心は集中した。 「株価が下がった理由は何か。企業努力が足りなかったのではないか」 株主から出た質問に、永守氏は少しキレ気味でこう答えた。 「私個人が日本電産最大の株主なので、他の株主に損をさせるようなことはしない。株価が上がったり、下がったりするのが
The Nidec Corp. headquarters stands in Kyoto, Japan, on Wednesday, May 27, 2015. Photographer: Akio Kon 日本電産創業者の永守重信会長が、最高経営責任者(CEO)を譲った日産自動車出身の関潤社長に対する失望感を強めている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。 関係者らによると、永守氏(77)は昨年末ごろ、高い収益力で成長を続けてきた日本電産に最近ほころびがみられるとし、低収益企業からの中途入社の増加で持ち込まれた諦めや怠けなどの悪習で汚染されていることが原因だとの見方を社内で示した。 特に主力事業の一つである車載事業で業績が悪化していると認識しており、同事業の再建は自身が責任を持ち、短期でやり抜くと強調した。関係者の1人によると、関氏は昨年12月から、本来であれば関氏を必要としないよう
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